スランプ脱出リハビリ2
「おおはらぁー」
「……」
「お、お、は、らぁ!」
とある休みの日。
桜野の家で勉強するため、勉強道具一式を持って桜野の家にお邪魔してる。
桜野のお母さんは俺たちに飲み物とお菓子を持ってきてから『少し出掛けるわねー』と朗らかに笑いどこかに出掛けた。
俺達はテーブルに参考書や受験対策プリントを広げ、それぞれ静かに勉強していた。
「大原ぁ!」
「…なに、つぎはどこ」
「ここ!わかんね!」
遠慮なく二パッと笑いながら指差した部分を参考書を見せながら教えればなるほどー!なんて言いながら間違えた答えを書き始める。なんもわかってないな、コイツ。
「…だからさ、ここの方式を代用して…」
「…わかんね!ちょっと休憩!」
コイツ…。
ジト目で睨んでみてもそんなものはなんのその。
鼻歌を歌いながらゲームの準備をし始めた桜野に盛大に溜め息を吐いてから桜野が解いたプリントを見直す。
…まぁ、合格最低ラインはなんとか出来てるし…わからないところはゆっくり教えていけば間に合うか。
ペラペラと捲っていたプリントを桜野に奪われ、目の前には桜野の笑顔が広がった。
その笑顔にうっ、と息が詰まりそうになる。
「なぁなぁ!唯兎も呼ぶか?連絡するか?」
「…やめとけ、唯兎はもっと難しい高校行くんだから邪魔してやるな」
「…ちぇ」
唯兎も呼んで3人で遊びたかったのだろう、不満顔が表に出ててつい頬が緩んでしまう。
「また予定組んで唯兎を呼ぼう。今は我慢だ」
「んぁー…受験生って大変すぎんよ」
「だな」
残念がる桜野を宥めながら俺は桜野の隣に座りゲームを選び始めた。
そんな俺をみてニヘ、と締まらない笑顔を見せた桜野はこれやろ!と1つのゲームを差し出してきた。
ごめんな、唯兎。
たまには桜野を独り占めさせてくれ。
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登録日 2025.02.06 10:02
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