『霊道開き』11 アップ。
畑中さんはぼた、と口から紅の固まりを吐き出した。それを残った片手で拾い上げ、「ほうら、見なさい、赤ん坊のころ、こうして噛み砕いて柔らかくして、肉でも魚でも野菜でも、栄養のつくものなら我が身を削って与えたのに、今になって自分の人生自分の生き方、一人で育ってきたように偉そうに賢そうに人をばかにして、大きくなればそれでおしまいか、ええ、たいした大人だこと。だから、こうして秋子なんかは、さっさと早くから手をかけて、ただ一言さえ言い訳せぬよう、ただ一瞬さえ私を忘れぬように、何度もその身に刻みいれたのに、なんて事だ、私を捨てて死んでしまう、愚かしいこと」「おろかしいのはあなたよ、おかあさん」
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登録日 2017.10.03 08:17
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