『開かない箱』7 アップ。
それを口にしたのは、ボックスだった。
『お嬢様、じゃなかったみたいですな』
「いいだろ、そんなこと」
そのまま黙ってしまうと、自分まで正体を晒してしまいそうな気がして、慌てて口を挟んだ。
「そんなことはどうでもいいんだ。誰であろうと構わないんだ。どこの誰でも、どういう事情でも…』
言いながら、あっさりうろたえてしまった自分が情けなく、恥ずかしかった。
そうとも、僕らは…いや、僕はただの浪人生にしか過ぎない。
このラインの一時だけ、能力のある信頼のおけるリーダーになる、逆に言えば、このラインの中でしかリーダーになれない、夢の中の男でしかない。
桜子もまた、そうだったのだ。
彼女もラインという夢の中で密やかな呼吸をするしか、自分を生かせない人間だったのだ。
『お嬢様、じゃなかったみたいですな』
「いいだろ、そんなこと」
そのまま黙ってしまうと、自分まで正体を晒してしまいそうな気がして、慌てて口を挟んだ。
「そんなことはどうでもいいんだ。誰であろうと構わないんだ。どこの誰でも、どういう事情でも…』
言いながら、あっさりうろたえてしまった自分が情けなく、恥ずかしかった。
そうとも、僕らは…いや、僕はただの浪人生にしか過ぎない。
このラインの一時だけ、能力のある信頼のおけるリーダーになる、逆に言えば、このラインの中でしかリーダーになれない、夢の中の男でしかない。
桜子もまた、そうだったのだ。
彼女もラインという夢の中で密やかな呼吸をするしか、自分を生かせない人間だったのだ。
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登録日 2017.09.12 08:32
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