『闇を闇から』9.オープン・ザ・ゲイト(10)アップ。『闇から見る眼』34追加。
京介のことばが途切れたのに、伊吹がのろのろと顔を上げてくる。
思った通り潤んだ瞳の幼い顔、しがみついているから動きがたどたどしくて、あどけないほど可愛い、そうぼんやりと見愡れて、やがて気付く。
優しい虚ろな視線。
京介は映っていない、唐突にそう理解した。
ただ、側に居たからしがみついただけ。
ただ駆け付けたから慰めに抱いただけ。
大輔と、同じように。
「この先、何度でも逢うチャンスはある」
「課長…」
「大丈夫だよ」
抱いた腕に力を込めないまま、続けた。
「誠実そうないい人だった。仕事内容もよかった」
大石の今のことを、きっと伊吹は知りたいだろうから。
今腕にしている京介の気持ちよりも知りたいだろうから。
覚えていることを一つ一つ伝えていく。
思った通り潤んだ瞳の幼い顔、しがみついているから動きがたどたどしくて、あどけないほど可愛い、そうぼんやりと見愡れて、やがて気付く。
優しい虚ろな視線。
京介は映っていない、唐突にそう理解した。
ただ、側に居たからしがみついただけ。
ただ駆け付けたから慰めに抱いただけ。
大輔と、同じように。
「この先、何度でも逢うチャンスはある」
「課長…」
「大丈夫だよ」
抱いた腕に力を込めないまま、続けた。
「誠実そうないい人だった。仕事内容もよかった」
大石の今のことを、きっと伊吹は知りたいだろうから。
今腕にしている京介の気持ちよりも知りたいだろうから。
覚えていることを一つ一つ伝えていく。
コメント 0件
登録日 2017.09.09 08:47
0
件
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。