【剣技能《ソードスキル》：閃光連撃】

　その名の通り、高速で連続攻撃を仕掛ける技能である。１度のダメージはさほどないものの、連撃を全て喰らえば相当なダメージ量だ。どのRPGにおいても誰もが一度は手に取るだろう剣。それはエスにとって初期で投げ捨てたり、盾役としてふるうものではなく、１つの完成された強力技能なのである。
　流石のエテルネルも【閃光連撃】を喰らえばひとたまりもない。そう、アデュルトは思っただろう。

「残念だったにゃあ」

　剣が届く寸前でエテルネルがそういった。
　ぞくりと背筋が凍ったように、彼は顔を瞬時に青ざめさせる。
　それに気分を良くしつつ、エテルネルはくるっと身体を捻らせた。

【体術技能コンバットスキル：空中円舞】

　それは普段、２段ジャンプとして使用する技能だが、エテルネルは下ではなく上に向かって蹴りを放つ。空中を蹴った彼女はそのままアデュルトの剣技を交わし、脇腹で技能キャンセルを行うと、引いていた矢を放った。

【弓技能《ボウスキル》：光槍矢】

　【弓技能《ボウスキル》】の中でも【光槍矢】は強力な部類に入る技能である。その名の通り矢が光の槍となって相手を撃ちぬく貫通技。鋼系モンスターや防御系技能であっても【光槍矢】を防ぎきれるものはそうない。
　しかし、アデュルトも負けてはいない。即座に剣身で【光槍矢】の勢いを殺し、更にはその軌道をずらしてしまった。剣身に軌道を逸らされた【光槍矢】はその方向を大きく変更して地面が抉られる。
　それでも貫通技なだけあって剣にはヒビが入り、アデュルトは弾かれて飛ばされた。

「ぐっあ……！！」
「おぉ、技能使ってにゃいにょに、そんにゃ使い方があるにょね！」

　現実となった今だからこそ出来る技を見て、エテルネルは目を輝かせる。エテルネルはエス時代に使っていた技能しか余り知らず、戦う時もその時の戦い方をベースとしていた。その点で言えばこの世界に長くいるというアデュルトのほうが有利な面も存在するのだろう。
　それをもってしても傷一つ、技能一つ入れさせないエテルネルはアデュルトからすれば、正しく天賦の才能があるといっても過言ではなかった。