『闇を闇から』5.ショーダウン(5)アップ。
あの日は月がなかったな、と京介は空を見上げて思った。
遮るように差し出している枝を押し退けて広げ、月があれば何か変わっていただろうかと思う。
こうして明るく照らされていれば。
さっきから無言で付いてくる伊吹を振り返る。怒ってる、と何度か問いかけてようやく、
「……怒ってません」
応じた声が来た時よりうんとそっけなくてずきりと胸の奥が傷んだ。
大輔はすぐに出かけると思っていたのになかなか出なくて不安だった。伊吹が入浴している間の見張りをしながら、温かな湯気と濡れた音を耳にして、それが流れ落ちる滑らかな肌を思って身体が疼いた。
遮るように差し出している枝を押し退けて広げ、月があれば何か変わっていただろうかと思う。
こうして明るく照らされていれば。
さっきから無言で付いてくる伊吹を振り返る。怒ってる、と何度か問いかけてようやく、
「……怒ってません」
応じた声が来た時よりうんとそっけなくてずきりと胸の奥が傷んだ。
大輔はすぐに出かけると思っていたのになかなか出なくて不安だった。伊吹が入浴している間の見張りをしながら、温かな湯気と濡れた音を耳にして、それが流れ落ちる滑らかな肌を思って身体が疼いた。
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登録日 2017.08.08 08:43
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