白雲八鈴

白雲八鈴

異世界物で恋愛ファンタジーを中心にコツコツ投稿中。 少しでも楽しんで読んでいただければ、嬉しく思います。 書籍化「私の秘密を婚約者に見られたときの対処法を誰か教えてください」好評発売中です。

星神ステルラに願う3〜この死から逃れるすべを〜


「残念だったなぁ」

 全てを否定する言葉と共に、闇をまとい蒼き紋様が浮き出た腕が俺に迫って来る。

「残念やないで」

 何処からともなく聞いたこともない声が聞こえてきた。風が吹き抜けたかと思うと、魔導騎士団の隊服を着ている人物の背中が目の前あった。

「あんたが最後や。残念やったなぁはこっちのセリフや」

 そう言って彼は絶対なる死をいともたやすく排除した。そう、金属のように硬い皮膚を粘土細工のように切り裂いたのだ。

「大丈夫か?怪我は……なさそうやな」

 振り返って俺を見た魔導騎士団の隊服を着たものが、心配そうに声をかけてきた。このあたりでは見かけない凹凸がない顔に漆黒の髪の青年。

 その姿を見た時、俺は夜空に瞬く星々に向かって祈りを捧げた。

『女神ステルラ様。俺たちの村に勇者を導いてくださったことに、感謝いたします』と。

 そう、目の前の人物は、この世界を救うべく異界から来た勇者ナオフミだ。

「なんや?どないしたんや?」
「星神ステルラに祈りをささげているのでしょう。星神は暗闇に導きの火をともす存在ですから」

 声がした方を見てみると、あの魔導師長様がユリウスと共にこちらに向かってきていた。

「ユリウス!」
「にぃちゃん!」

 俺とユリウスは互いに駆け寄り、抱きしめ合う。そして、ハタッと思い出した。

「お前腕は!」
「聖女様に治してもらった」

 そう言って見せてくれた右腕には傷ひとつないユリウスの腕があった。聖女様。この混沌とした世界を光で満たしてくださる唯一の御方。

「女神ステルラ様。女神様の導きに感謝いたします」

 俺は再び天を仰いだ。この美しい星の海の中にいるステルラ様を探すように。

「ふーん?星の神さんかぁ。ほんま空に居るんかいな」
「あの、強く光を放っている3つの星を繋いだ中央に星神の神殿があると言われています」
「なんや相変わらずこの世界はおかしなもんやなぁ」

 勇者と魔導師長様の話を聞きながらら、ユリウスとお互いの無事を喜び、助けてくださったことへの感謝を口にするのだった。


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読んでいただきましてありがとうございました。
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登録日 2023.02.09 23:50

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