もうこれで人生最後の修学旅行になっちゃうんだと思うとなんだか哀しくなっちゃうよね？と同級生とふたり黄昏れ、必要以上に感傷的になり悲嘆に明け暮れる夢中の修学旅行、…ってか、何回行ってンだ、俺は！？別れに挨拶もほどほどにして駅前解散、デパートの地下階に連なる階段室の踊り場に設置されたトイレにみんな大挙して押し寄せなだれ込むのだけれども、床面がおっとろしいほどの水浸しというか、ところどころバカデカいションベンの湖。おそらくたぶん、間に合わなかった奴、酔っ払いかなんかがやらかしたンだろうな？と考えあぐね、それは果たして一体、推測の域を脱しないのだけれども、あとからその場所れ来た奴、今にも階段を降りようと階段室に差し掛かろうとしている同級生に俺は親切にも注意を促す。そして、その場をあとにして、前屈み 前傾姿勢 空気抵抗を軽減するが如く龍が如く流線型、指先までもとんがらかして両足は高速機動、眼にも止まらぬ速さで隧道をフルスピード駆け抜ける。そんな姿を誰にも見られまいと躍起にやっている俺は通行人の誰にも認識されない。また、隧道であるにもかかわらず雨よけのパラソルが設置されている不可思議な状況に眼もくれず、一目散に家路に就きながら、もう、施設に入ったとしたら、二度とうちには帰っては来られないであろう母親を必死に喰い止める予定。私は施設に入るんだと言って聴かない母親に執拗に喰い下がりなんとかして引き留めようと、最期まで家で看取る死に水を取る覚悟を胸に抱き、そんな母親の自宅引き留め計画をこころのなかで目論みつつ本当にそんなことが俺に出来ようか？出来るだろうか？出来ようが出来まいがやるしかない！やるならやらねば！やって出来ないことはない！と思いわずらう…。