『桜の護王』11.葛城(2)アップ。
きり、と護王の歯が鳴った。荒々しく部屋を出て行きながら、低い声で吐く。
「…くそったれ……っ!」
「待てよ、どこへ」
「綾香が噛んどるんやったら……大西が無縁なわけないやろ…? どんな思いさせても吐かしたる」
護王が広げた冷ややかな微笑に、村上は一瞬反論しようとしたが、やがて諦めの混じった声で応じた。
「洋子さんに、私は日高を裁くと約束したんだよ」
「知るか…」
くす、と場違いにかわいらしく聞こえる声で護王が笑った。瞳に禍々しい紅の色が揺れる。村上は不安になって眉を寄せた。
「安心しぃ…俺が裁いたる…きっちりな」
護王の唇が魔性の笑みに綻んだ。
「姫さんのおらへん世界が」
その後は村上がことばを呑むほど昏い声が、遠ざかる背中から響いた。
「存在してる意味なんてあらへん」
「…くそったれ……っ!」
「待てよ、どこへ」
「綾香が噛んどるんやったら……大西が無縁なわけないやろ…? どんな思いさせても吐かしたる」
護王が広げた冷ややかな微笑に、村上は一瞬反論しようとしたが、やがて諦めの混じった声で応じた。
「洋子さんに、私は日高を裁くと約束したんだよ」
「知るか…」
くす、と場違いにかわいらしく聞こえる声で護王が笑った。瞳に禍々しい紅の色が揺れる。村上は不安になって眉を寄せた。
「安心しぃ…俺が裁いたる…きっちりな」
護王の唇が魔性の笑みに綻んだ。
「姫さんのおらへん世界が」
その後は村上がことばを呑むほど昏い声が、遠ざかる背中から響いた。
「存在してる意味なんてあらへん」
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登録日 2016.10.01 23:17
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