『大雨』によせて。 森の中の沼、あるレインコートフェチの光景。
修行中の夢精を恥じることとなった翌日の昼下がり、私は人気のない森の沼地で奇妙な光景に出会う事になった。点在する沼の中でも、泥田に近い場所で全身をゴム引きの雨合羽でかためた人物が一人ぼんやりと佇んでいたのだ。この時、何故か私は昨日偶然に嗅いだ白粉の匂いを瞬間的に思い出した。それ故か。あるいはその人物の発する気配故か、私は木々の影に自分を隠すようにしながら沼に近づいて行く事となった。ゴム引き雨合羽のこすれ合う重いゴボゴボという音が聞こえる程の距離に近づいた時、私は驚くべき発見をした。全身の雨合羽に泥はねを付け、今は膝を落として泥の中に脚踝を鎮めている人物は、そのフードから透かせて見える顔から判断して、妙齢の女性のように思えたのである。更に注意して見るとその女性の手は一方は股間へ、残りはその胸元へと伸びている。一瞬、混乱を起こした私だったが暫くして総てをのみこんだ。どういう性癖でこんな事をしているのかは判らないが、これははまさしく女性の自慰行為ではないか?その思いに至ったと同時に、昨夜夢精をはたした私の股間の男根が、きつく勃起するのだった。 そしてゴムフードから垣間見えるうつむき加減の女性のくっきりとした睫や眉が何かに耐えるように震えるのを見た時、私の欲望が爆発した。
総ての後先を捨てた私は泥沼の中に駆け込んでいく。私自身、自分の脚を泥に取られてじたばたと接近せざるを得なかったのだが、その気配を知ってもゴム雨合羽の女は逃げだそうとはしなかった。
あるいは余りの驚きに思考が停止したのかも知れない。私がゴム雨合羽ごとその女を抱きすくめた時、彼は二度目の驚きを感じた。なんと自分が抱きしめている雨合羽の下の感触は、下着一つとしてない完全な裸体のものだったのだ。私は自分の鼻先で女の顔の感触を確かめようと唇を寄せた。既にこの時、私には、女が一種のトランス状態に陥っているのが判っていたからそんな暴挙に出たのかも知れない。私の唇が女の頬に触れた瞬間、私の中で今までの彷徨の旅の蓄積総てが弾け飛んだ。そして「弾け飛んだ」のは女も同じだった。神懸かりのように小糠雨のごとき痙攣を繰り返していた女に肉欲の意識だけが戻って来たのだ。女は自ら激しく私の唇をむさぼるように吸ってきた。・・その後、私とゴム引き雨合羽の女はもつれ合うように泥沼に倒れ込んで行った。
総ての後先を捨てた私は泥沼の中に駆け込んでいく。私自身、自分の脚を泥に取られてじたばたと接近せざるを得なかったのだが、その気配を知ってもゴム雨合羽の女は逃げだそうとはしなかった。
あるいは余りの驚きに思考が停止したのかも知れない。私がゴム雨合羽ごとその女を抱きすくめた時、彼は二度目の驚きを感じた。なんと自分が抱きしめている雨合羽の下の感触は、下着一つとしてない完全な裸体のものだったのだ。私は自分の鼻先で女の顔の感触を確かめようと唇を寄せた。既にこの時、私には、女が一種のトランス状態に陥っているのが判っていたからそんな暴挙に出たのかも知れない。私の唇が女の頬に触れた瞬間、私の中で今までの彷徨の旅の蓄積総てが弾け飛んだ。そして「弾け飛んだ」のは女も同じだった。神懸かりのように小糠雨のごとき痙攣を繰り返していた女に肉欲の意識だけが戻って来たのだ。女は自ら激しく私の唇をむさぼるように吸ってきた。・・その後、私とゴム引き雨合羽の女はもつれ合うように泥沼に倒れ込んで行った。
登録日 2022.05.08 14:59
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