トリヤマケイ

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すべてを諦めます

読書感想文 『カノジョ』


角田光代さんの『カノジョ』
初出 新潮2002年1月号を読みました。

離婚した前妻の生き霊に悩まされるお話でした。

主人公は、未だに入籍しておらず、カノジョの状態なのですが、リフォームを自ら行ったという前妻みよ子の影に怯えながらも、なぜか仲間うちだけの結婚披露宴的なパーティの1枚の写真を捨てられずに、大切にクローゼットの中にしまっているというのが、どうしても理解できませんでした。

恋人である大介の留守中に西の部屋の天袋から見つかったみよ子とのアルバムを全部捨てたにもかかわらず、パーティの1枚だけはたからもののようにクローゼットにしまっているんです。

壁紙のなかにソファの奥に、天井裏に階下の部屋に、テレビのリモコンのなかにフォークの光沢のなかに、みよ子が確かにいると主人公は確信しているのですが、それだけではなく主人公自身にみよ子は憑依して片時も離れずに存在しているので、パーティの写真は捨てられないのでしょう。

もうとっくに憑依され侵食されていたと考えると前妻みよ子の写真を大切にとってあるというのも肯けます。

現実的に考えると前妻関連のもの、特に写真は1番ダメで廃棄する優先順位はトップであるはずなので、主人公は完璧にみよ子に取り憑かれている状態だというのが妥当だと思います。


カノジョは、つまり前妻みよ子のことなのですね。現代では幽霊すら信じない人が多いのですから、生き霊の存在を信じろよというのは無理な話かもしれません。


僕自身は、スピリチュアルな人間ですので、なるほどなぁって面白く読んだ次第ですが、普通に考えると絶対に元カノやら前妻の写真はNGの筆頭なので、もう少しみよ子と闘争するというか、マジにやり合う感じを出したら、それっぽかったかもですね。確かに自分の中にみよ子がいるというだけで、完全に占領されてしまったわけではないようですので。
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登録日 2022.04.13 12:14

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