『ドリーム・ウォーカー』5.夢のかけら(2)アップ。
僕はのろのろと首を回して、流しの上のカップを見た。白くて小さなカップには薄いひびが入っている。さっき、母さんが叩きつけた衝撃で割れたのだろう。そのひび割れは、僕の心の中のひびにそっくりに見えた。
リカにもらった、カップだったんだけど。
出会った記念におそろいだよって、初めてもらったプレゼントだったんだけど。
母さんにとっては、どこにでもある白いカップにしか過ぎなかったんだろうけど。
頭の中に男と腕を組んで夜の街へ消えて行った、リカの姿が過っていった。
結局は、そうなのか。
春日がいなくなった冷えた教室を思い出す。
僕も、母さんにとってのこのカップと同じ、どこにでもある無個性な塊にしか過ぎないのか。
リカにもらった、カップだったんだけど。
出会った記念におそろいだよって、初めてもらったプレゼントだったんだけど。
母さんにとっては、どこにでもある白いカップにしか過ぎなかったんだろうけど。
頭の中に男と腕を組んで夜の街へ消えて行った、リカの姿が過っていった。
結局は、そうなのか。
春日がいなくなった冷えた教室を思い出す。
僕も、母さんにとってのこのカップと同じ、どこにでもある無個性な塊にしか過ぎないのか。
コメント 0件
登録日 2017.06.10 08:36
0
件
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。