『アンカー』9(最終話)アップ。
役所は込み合っていた。
出て行くときに腕を絡ませて入っていく男女と擦れ違い、広子は彼らを見送った。
二十年ほど前、広子は一人で婚姻届を出しに来た。夫は仕事に出ていた。それはお互いの役割を果たすという合理性だったのか、それともお互い別の生活を持つという暗黙の了解だったのか。
あのとき、二人でここに来ていたならば、何かは変わっていただろうか。思いながら、広子は手にした紙を広げた。
ぺらぺらした薄い半透明の頼りなげな紙。そういえば、婚姻届も似たような紙だった。男女のつながりを結ぶのも切るのも、そうたいしたことではないという意味なのかもしれない。
出て行くときに腕を絡ませて入っていく男女と擦れ違い、広子は彼らを見送った。
二十年ほど前、広子は一人で婚姻届を出しに来た。夫は仕事に出ていた。それはお互いの役割を果たすという合理性だったのか、それともお互い別の生活を持つという暗黙の了解だったのか。
あのとき、二人でここに来ていたならば、何かは変わっていただろうか。思いながら、広子は手にした紙を広げた。
ぺらぺらした薄い半透明の頼りなげな紙。そういえば、婚姻届も似たような紙だった。男女のつながりを結ぶのも切るのも、そうたいしたことではないという意味なのかもしれない。
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登録日 2017.05.24 15:25
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