大森かおり

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はじめまして! 大森かおりです。私は、とにかく児童文学が大好きです! みなさんに私の作品を楽しんでもらえるように、これから精一杯がんばりますので、応援していただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

デニーの一日4

〜昼〜


ランチの時間がやってきた。

けれども、わんぱく坊やのデニーは、ランチを食べない。

ランチも食べずに、なにをするかというと、外には出られないから、二階にある自分の部屋に行って、外を偵察するのだ。

デニーは、自身の望遠鏡をのぞき込み、外になにがあって、誰がいるのかたしかめた。

周りが住宅街のデニーの家の前では、たまにちらほらと、道を通っていく人や、車に乗った、なんらかの業者の人や、野良猫なんかが、さっそうと横切ったりする。

いいなあ。

デニーは、そういう光景を見るたびに、うらやましがっていた。

さて、どうしてこんなに元気で、他の外に出ているみんなと、なにも変わらない様子のデニーが、外へ出られないのかという話だけど、それはデニーが、おばさんに一度、とんでもない、いたずらをしてしまったからだった。

そのいたずらをしてしまったせいで、デニーはおばさんに、一週間の、外出禁止を命じられてしまったのだ。

あーあ。あんなことさえしなければ、僕はいまごろ、自由に外に出られたのに。

デニーがそこまで後悔するいたずらというのは、おばさんのパンツの中に、僕のだいきらいな食べもの、セロリを入れてしまったからだった。

そのせいでおばさんは、ドッカーン、火山が噴火したときのように、プンプン怒ってしまったんだ。

だって、セロリが夕飯に出てくるなんて、思っていなかったんだから、仕方ないだろう?

おばさんは僕を、いつだって甘やかしてくれるのに、どうして僕のきらいな食べもの、セロリだけは、すすんで出してくるんだろう。

デニーはとても不思議に思っていた。

誰だって、きらいな食べ物が出てきたら、誰かのパンツの中に隠すだろう?

僕にとっては、それが常識さ。

でも、それがいけなかったんだ。

僕はそのおばさんの言いつけを、今日まで忠実に守ってきた。だけど、今日でそれも限界かもしれない。

いっこくも早く外に出たい。

デニーは外を見つめながら、そんな思いでいっぱいになった。

つづく



大森
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登録日 2021.11.12 12:39

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