『桜の護王』11.葛城(1)アップ。
宇津目綾をもって、『姫さん』はその転生を封じる。そして、護王をその定めより解き放つ。
(それでええんや、きっと)
だからこそ、このときの『姫さん』は綾だったのだ。求められない『姫さん』、離れるべき『姫さん』、当たり前だ、捨て去られるべきが、その役目。
(あほやなあ……そやのに……惚れてしもて……)
そうだ、惚れている、心底、居畳まれないほどに惚れている。
けれどそれは叶うことない運命だ。
護王を想えば想うほど、決して叶えてはならないこと。
(そやけど……)
「納得したか、よろし、これこそ、ほんまの守り神の業やで、綾、あんじょう、往生しいや」
斧がゆっくり、けれどもためらいなく洋子の喉に当てられた。
(未練やなあ)
洋子は夜闇に舞い散る桜の花弁に小さく吐息をついた。
(最後に一目……会いたかったなあ)
せめて、もう一度だけ顔を見たい。
数えるほどしか見られなかった、その笑顔を、ただ一度だけ。
それが自分のものではないとわかってはいる。
けれど。
ここで洋子は消滅する。消える。居なくなる。
だから、たった一つの、ささやかな、それ以上は望まない、だから。
(護王…)
まるで風呂の薪を割るような様子で康隆が頭上に斧を振り上げる。それから無造作に斧の重さに体重をのせて一気に地面まで振り切った。
「!」
声はもう出なかった。ざくりと裂かれた喉から鮮血が飛び、桜の花にすがりつくように散っていく。
きれいだ、と最後にそう思った。
今回よりアルファポリス内アップを告知いたします(掲示板は今まで通り、ベースサイトの告知とします)。
(それでええんや、きっと)
だからこそ、このときの『姫さん』は綾だったのだ。求められない『姫さん』、離れるべき『姫さん』、当たり前だ、捨て去られるべきが、その役目。
(あほやなあ……そやのに……惚れてしもて……)
そうだ、惚れている、心底、居畳まれないほどに惚れている。
けれどそれは叶うことない運命だ。
護王を想えば想うほど、決して叶えてはならないこと。
(そやけど……)
「納得したか、よろし、これこそ、ほんまの守り神の業やで、綾、あんじょう、往生しいや」
斧がゆっくり、けれどもためらいなく洋子の喉に当てられた。
(未練やなあ)
洋子は夜闇に舞い散る桜の花弁に小さく吐息をついた。
(最後に一目……会いたかったなあ)
せめて、もう一度だけ顔を見たい。
数えるほどしか見られなかった、その笑顔を、ただ一度だけ。
それが自分のものではないとわかってはいる。
けれど。
ここで洋子は消滅する。消える。居なくなる。
だから、たった一つの、ささやかな、それ以上は望まない、だから。
(護王…)
まるで風呂の薪を割るような様子で康隆が頭上に斧を振り上げる。それから無造作に斧の重さに体重をのせて一気に地面まで振り切った。
「!」
声はもう出なかった。ざくりと裂かれた喉から鮮血が飛び、桜の花にすがりつくように散っていく。
きれいだ、と最後にそう思った。
今回よりアルファポリス内アップを告知いたします(掲示板は今まで通り、ベースサイトの告知とします)。
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登録日 2016.09.25 21:41
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