『桜の護王』11.葛城(7)アップ。
「泣かんでええ、お前は里のためになる、祭礼のことは心配せんでええ、茜が帰ってくるさかいな」
康隆がにんまりと目を細めて笑った。
「あいつの腕にも花王紋が現れたんやて。なあに、一度は嫁したにせよ、お前かて生娘ちごても『姫さん』や、茜にも十分に勤まるやろう。実際」
笑みがにやにやといやらしく崩れ落ちた。
「もうすっかりええ具合になってるらしい、お前は気づいとらへんかったやろが、まあ、見目形からもわかるわなあ」
そうか、とぼんやり洋子は思う。
(そうか、あれからずっと、そうなんか)
そして気づく、もう一つの企みに。茜を煩雑に呼び戻して出入りさせていた康隆の暗い望みに。
(けど、もう…)
どうでもええ、と洋子は薄笑いした。
(選んだのは護王や…)
もうお役御免ということなのだ。そう心の底から思い知る。
康隆がにんまりと目を細めて笑った。
「あいつの腕にも花王紋が現れたんやて。なあに、一度は嫁したにせよ、お前かて生娘ちごても『姫さん』や、茜にも十分に勤まるやろう。実際」
笑みがにやにやといやらしく崩れ落ちた。
「もうすっかりええ具合になってるらしい、お前は気づいとらへんかったやろが、まあ、見目形からもわかるわなあ」
そうか、とぼんやり洋子は思う。
(そうか、あれからずっと、そうなんか)
そして気づく、もう一つの企みに。茜を煩雑に呼び戻して出入りさせていた康隆の暗い望みに。
(けど、もう…)
どうでもええ、と洋子は薄笑いした。
(選んだのは護王や…)
もうお役御免ということなのだ。そう心の底から思い知る。
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登録日 2016.09.24 09:34
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