『ハートレイト』1アップ。
「ぐっ」
背後で奇妙な声が響いて、北野由紀子は振り返った。
日曜日の穏やかな昼の検温時間。
三年目でまだまだ走り回ることが多い北野が、患者の一人一人と話ができるのは今しかない。そう考えて、ある患者の側に腰を落ち着けていたときのことだった。
北野の目の前で、岩見という六十になる患者が、苦悶の表情で胸を押さえて前にのめり、ベッドから落ちかける。
「岩見さんっ」
とっさに抱きとめたものの、やせた老人の体は想像以上に重かった。膝をつきそうになって必死に耐え、ベッドの上へ押し戻す北野に、隣の患者が慌てて駆け出しながら叫ぶ。
「お、おれ、先生呼んで来る!」
あなたも心臓病患者なのよ、走らないで。
背後で奇妙な声が響いて、北野由紀子は振り返った。
日曜日の穏やかな昼の検温時間。
三年目でまだまだ走り回ることが多い北野が、患者の一人一人と話ができるのは今しかない。そう考えて、ある患者の側に腰を落ち着けていたときのことだった。
北野の目の前で、岩見という六十になる患者が、苦悶の表情で胸を押さえて前にのめり、ベッドから落ちかける。
「岩見さんっ」
とっさに抱きとめたものの、やせた老人の体は想像以上に重かった。膝をつきそうになって必死に耐え、ベッドの上へ押し戻す北野に、隣の患者が慌てて駆け出しながら叫ぶ。
「お、おれ、先生呼んで来る!」
あなたも心臓病患者なのよ、走らないで。
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登録日 2017.04.30 21:32
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