『ラズーン』第一部 14.ダノマの赤い華(12)(個人サイトでアップ)
夜はいつのまにかとっぷり暮れて、月が頭上に昇っていた。
煌々と照らす光を浴びて、渡り廊下をアシャは進む。
ユーノに何の話があるんだと散々イルファに絡まれた。濡れた髪は既に乾き始めている。伸びてきたそれをさくりと掻き上げ、ユーノの首筋に絡みついていた髪の毛を思い出した。
『気付かな、かったよ…』
茫然とした声が、濡れてくしゃくしゃになった髪の毛が絡みつく細い首の向こうから響く。
ただでさえ、ゼランに裏切られていたという事実はユーノを傷つけている。そのうえ手取り足取り教えられた剣に、自分の命を危険に晒すような罠が仕掛けられていたと知って、微かに震えた肩が痛々しかった。
「俺が先に気付いていれば」
唇を噛んでアシャは眉を寄せた。
そうすれば、あんなに無造作に知らせることはしなかった、それとなく剣を教えて、それとなく隙に気付かせて。
煌々と照らす光を浴びて、渡り廊下をアシャは進む。
ユーノに何の話があるんだと散々イルファに絡まれた。濡れた髪は既に乾き始めている。伸びてきたそれをさくりと掻き上げ、ユーノの首筋に絡みついていた髪の毛を思い出した。
『気付かな、かったよ…』
茫然とした声が、濡れてくしゃくしゃになった髪の毛が絡みつく細い首の向こうから響く。
ただでさえ、ゼランに裏切られていたという事実はユーノを傷つけている。そのうえ手取り足取り教えられた剣に、自分の命を危険に晒すような罠が仕掛けられていたと知って、微かに震えた肩が痛々しかった。
「俺が先に気付いていれば」
唇を噛んでアシャは眉を寄せた。
そうすれば、あんなに無造作に知らせることはしなかった、それとなく剣を教えて、それとなく隙に気付かせて。
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登録日 2017.04.21 09:21
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