「尾張名古屋の夢をみる」 蛇足を承知で解説など(3/27)

はじめまして、神尾宥人です。他のサイトでは別の名前で活動しているのですが、このアルファポリスではこの名前で時代小説を発表させていただいております。どうぞよろしく。
さて、拙作「尾張名古屋の夢をみる」、第二章はここまでです。とはいえ、いわばここまでは序章。軸となる人物がようやく出揃って、ここからいよいよ本筋がはじまるというところです。

ところで本作の主人公、山下大和守(半三郎)氏勝という男は、言うまでもなく実在の人物です。その来し方も、出来る限り資料で拾い上げられた史実に則って描いています。ただし彼のことに触れた資料そのものが非常に少なく、評伝と呼べるものも花見朔巳による『日本近世史設』(大正十五年刊)の中の一章(山下大和守氏勝~特に諸侯との関係に就いて)がある程度でしかありません。そしてとりわけその前半生、天正地震によってすべてを失ったのち、徳川に仕えて義直の傅役として表舞台に現れるまでの間は、まったく謎に包まれていると言ってもよく、家譜にも小田原征伐で先手として功を挙げたこと、文禄の役にて名護屋まで随行したことが簡単に記されているだけです。なのでそのあたりは、多分に創作で補わざるを得なかったことは白状しておかねばなりません。
ただしそこで絡めさせてもらった、山中城での一番乗り争いや、肥前名護屋の水騒動などは、いずれも徳川実紀等に記述のある史実です。そこにはたして氏勝がどう関わったのか、なんてことを考えていくのは楽しい作業で、そうして史実を想像で膨らませていくのが、時代小説の面白さなんだろうなぁ、なんてことを思ったりもしています。

そんな次第ではありますが、ここから先もどうぞお付き合いください。
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登録日 2021.03.27 14:02

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