『ラズーン』第一部 13.夢見る草猫達(6)(個人サイトでアップ)
普段でも扱いにくいヒストは、波打つ草に苛立つように猛っている。ヒストにひたりと身を寄せ、風の抵抗をできるだけ受けないように走らせるユーノは、みるみる追い付いてきたアシャを視界の端に捉えて少しほっとした。
「ちっ」
(何を甘えている)
自分の温さに気付いて舌打ちしたが、
「ユーノ!」
「ああ!」
鋭い声が前方を見るよう促して視線を前に向ける。
2人の目の前に、青白い篝火を数カ所灯らせた石造りの砦が見え始めていた。平原からやや奥まった岩と岩が互いの肩を寄せあうような窪地、焦茶色に湿った岩盤を基底部として黒い岩を積み上げてある。
だが、小高い物見台は既に崩れ、外壁は形もない土塊と化している。薄暗い口をあちこち開けた砦は、かつての熱気溢れる人間達の代わりに、不思議な気配で満たされている。
「ちっ」
(何を甘えている)
自分の温さに気付いて舌打ちしたが、
「ユーノ!」
「ああ!」
鋭い声が前方を見るよう促して視線を前に向ける。
2人の目の前に、青白い篝火を数カ所灯らせた石造りの砦が見え始めていた。平原からやや奥まった岩と岩が互いの肩を寄せあうような窪地、焦茶色に湿った岩盤を基底部として黒い岩を積み上げてある。
だが、小高い物見台は既に崩れ、外壁は形もない土塊と化している。薄暗い口をあちこち開けた砦は、かつての熱気溢れる人間達の代わりに、不思議な気配で満たされている。
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登録日 2017.04.03 00:19
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