トベ・イツキ

トベ・イツキ

歴史小説を書いてます。三国志✕学園群像劇『学園戦記三国志』を小説家になろう・カクヨム・アルファポリスで連載中。他に『三国志 歴史解説』も執筆。

番外の番外 三国志の刀剣の話(前編)

好評(自称)連載中学園戦記三国志
https://www.alphapolis.co.jp/novel/227601892/691282124
の最新話、番外編その5[服装]の話で剣の話がチラッと出てきたので少し補足。
今回の番外編では、あくまで日常生活での文化なので、武器の話は設けてないのでちょっとだけここでやる。
中国では成人男性の足から眉までの長さの武器を短兵(刀剣など)、それより長いものを長兵(矛(ほこ)や槍など)といった。
通常の戦闘においてはリーチの長い長兵の方が有利だが、接近戦や森林や市街地など動きが制限される空間では短兵の方が有利であり、また長兵より携帯が楽なので、ほとんどの兵士はなしかしらの短兵(多くは刀)を身につけていた。
両刃の短兵を剣、片刃の短兵が刀である。
剣の歴史は古く、伝説によると怪神・蚩尤(しゆう)が他の矛や戟(げき)などともに発明し、黄帝(こうてい)と戦ったという。出土品的には殷の時代には剣が作られていた。
周の時代、貴族は剣を必ず身につけることになっており、その意識からか古代においてはどんなに貧乏でも剣だけは持っていることがままあった。
孟嘗君(もうしょうくん)の食客になりにきた馮驩(ふうかん)の持ち物は剣のみであったり、項羽(こうう)の元から去った陳平(ちんぺい)の持ち物が剣のみだったりと、昔は一文無しになっても剣だけは持っていた。
その後もこの意識は続き、漢の時代には皇帝から官吏、さらには庶民まで帯剣していたが、官吏の帯剣は装飾品としての価値しかなくなり、次第に衰えたことは本編に書いた。
しかし、剣の権威は残り、明の時代では、将軍が遠征するときは、皇帝からじきじきに尚方剣(しょうほうけん)という宝剣を賜ることがあったそうだ。
もしかしたら、三国時代から五胡十六国と戦乱の時代が続いたため、武器が不足し、装飾品の剣まで作る余裕がなくなっていたのかもしれない。
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登録日 2021.02.07 21:47

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