日本人にとってのラーメン

 交信する人達を見分ける方法の前に、譬え話を一つします。


 日本好きの外国人のAさんが、日本旅行中にラーメンを食べました。Aさんには日本人の友人がいて、自分はシーフードが好きなことや「和食は出汁が大切なんだよね」等々を、前々から話していました。よって友人は、魚介類の出汁を丁寧に取った塩ラーメン店に、Aさんを連れて行きました。Aさんは塩ラーメンの美味しさに大満足し、日本が益々好きになりました。

 日本嫌いの外国人のBさんが、仕事で日本を訪れました。日本にはラーメンなる食べ物があることを耳にしたBさんは、行列のできているラーメン店をたまたま目にし、そこに入ってみました。しかしBさんは吐き気を覚え、一口食べるのが精一杯でした。その店は全国的に有名な、背油を山盛りにする豚骨ラーメン店で、Bさんは背油が大の苦手だったのです。お店を出たBさんは、日本が益々嫌いになっていました。

 AさんとBさんは帰国後、偶然知り合いました。どちらもつい最近日本へ行ったことを知ったAさんとBさんは、最も印象の強かったラーメンについて語り合いました。しかしラーメンへの印象が真逆の二人は、すぐ言い争いになりました。「あの美味しさが理解できないなんて、味覚が無いんじゃない?」「吐き気がするほど不味いあれを好きだなんて、お前こそどうかしているよ」 人格否定を繰り広げた二人は喧嘩別れし、二度と和解することはありませんでした。


 譬え話は以上です。
 上記の話を読んだ日本人の多くが、「ラーメンには種類が幾つもあるんだよ、誤解しちゃダメだよ」に類する感想を抱いたと思います。しかしそれは、味の異なる複数のラーメンに囲まれて育った、日本人だから可能なこと。それを知らないAさんとBさんにとっては、直接食べたラーメンだけが唯一のラーメンなのだと思い込んでも、仕方なかったんですね。

 これと同種のことが、スピリチュアルやオカルトや宗教には溢れています。ラーメンという実体があるものすら外国人の誤解を招いたのですから、魂や幽体離脱などの実体がないものへの誤解は、凄まじいの一言に尽きます。そしてそうなった理由も、AさんやBさんと同じなんですよ。

 続きは次回にしますね。
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登録日 2021.01.27 06:55

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