心の貧しい者

 ある場所に、凄まじく高い理想を追い続けているのに、それをまったく自覚していない人がいました。
 自覚のないその人は、理想にしている自分と現状の自分のギャップに、いつも落ち込んでいました。
 しかしその人は、一般水準と比較すれば、とんでもないレベルの人格者に育っていました。よって周囲の人々は、口を揃えてその人を称えました。
「あなたはなんて、心の豊かな人なのでしょう」
 けれどもその人は悲しげに首を横に振り、いつもこう返していました。
「いいえ、私はそのような者ではありません。私は、心の貧しい者なのです」
 イエスキリストは、そのような人へ言ったのです。
「心の貧しい者は幸いである。天国は、彼らのものである」

 この小説の主人公は、上記を土台にして人物設定されています。少し明かしてしまいますが、水晶の「そなたは己の才を眠らせ留めた者じゃからの」から窺えるように、眠留君は本人が望めば完璧チートとして生れて来ることも可能でした。昴を超える身体能力と、北斗を超える頭脳と、真山を超える容姿の、三拍子そろったチートとしてこの世に誕生することも彼はできたのです。
 しかし彼は、それを望みませんでした。
 それらの才をすべて眠らせ、努力によってのみ発芽する後天的能力に、彼は留めました。
 低身長の胴長短足の、運動音痴のオドオドもじもじ性格に、彼はあえて生まれて来ました。
 小説の冒頭に登場する、闇の巨星との戦いに間に合わせるためには、極めつけの「心の貧しい者」になる必要が、あったからです。

 かつて人類は、「心の貧しい者」への知識を所有していました。日本なら「縁の下の力持ち」や「負けるが勝ち」が、それに相当するでしょう。アダムスミスの国富論に沿う社会を維持していた当時の米国にも、それは残っていました。ですが今は両国とも、見る影もなく消滅してしまいました。それが今回の米大統領選挙の不正と、日本の犯罪級の偏向報道を招いた、元凶なのです。
 
 少し明かすはずが、めちゃくちゃ明かしてしまいました。

 でもまあ、この小説程度のネタばらしでハルマゲドンの前哨戦の助力になれるなら、全然いいんですけどね。
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登録日 2021.01.09 06:23

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