『ラズーン』第一部 12.盲目の導師(9)(個人サイトでアップ)
導師の家は昼間見た川の流れの近くにあった。
ヒストをゆっくり進めながら、ユーノの頭には繰り返し同じことばが流れている。
『俺にも好みと言うものがある』
冷やかな突き放した声音はよく耳にしたことがある。
ユーノと親しく話していた親衛隊の1人が仲間にセレドの皇族におさまる気かとからかわれた時。街中でレアナの護衛として同行していて、姉に見愡れた男がユーノを見ていたと勘違いされた時。
比べられて貶められるのはもう数えるのも飽きたぐらいで。
(傷つかないわけ、じゃないのにな)
髪をしなやかにする薬草を調べたこともある。レアナより浅黒い肌に少しは映える紅を考えてみたこともある。棒杭のように柔らかさのない体つきをふわりと見せる仕草を探したこともある。
(それでも)
かなわない、どこもかしこも何もかも。
全てにおいて自分は姉にも妹にも母にも劣るのだと繰り返し思い知らされるばかりで。
ヒストをゆっくり進めながら、ユーノの頭には繰り返し同じことばが流れている。
『俺にも好みと言うものがある』
冷やかな突き放した声音はよく耳にしたことがある。
ユーノと親しく話していた親衛隊の1人が仲間にセレドの皇族におさまる気かとからかわれた時。街中でレアナの護衛として同行していて、姉に見愡れた男がユーノを見ていたと勘違いされた時。
比べられて貶められるのはもう数えるのも飽きたぐらいで。
(傷つかないわけ、じゃないのにな)
髪をしなやかにする薬草を調べたこともある。レアナより浅黒い肌に少しは映える紅を考えてみたこともある。棒杭のように柔らかさのない体つきをふわりと見せる仕草を探したこともある。
(それでも)
かなわない、どこもかしこも何もかも。
全てにおいて自分は姉にも妹にも母にも劣るのだと繰り返し思い知らされるばかりで。
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登録日 2017.03.17 19:14
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