『緑満ちる宇宙』第8章 モリ(2) アップ。
スライが目を上げると、サヨコは微笑を浮かべて言った。
「救援が来ても来なくても、わたし、これを使わないつもりだったんです」
「だが……サヨコ……『宇宙不適応症候群』を…」
「ええ、起こすでしょうね」
「起こす、だと? 君はわかって言って…」
「いいえ、スライ」
サヨコは首を振った。
「十分わかっています。わたしが『GN』でしかないってことも、『宇宙不適応症候群』の怖さも。でも、わたし、だからこそ、これを使うわけにはいきません」
「サヨコ…」
スライは呆然とした。混乱したまま、問いかける。
「死ぬ気なのか…?」
「いえ、まったく逆です、スライ」
サヨコは笑った。したたかな鮮やかな微笑だった。その笑顔も初めてみる顔で、スライは茫然と見愡れてしまったが、続いたサヨコのことばに冷水を浴びせられたような気がして瞬きした。
「わたし、生きるために、使わないんです」
「何だって?」
「救援が来ても来なくても、わたし、これを使わないつもりだったんです」
「だが……サヨコ……『宇宙不適応症候群』を…」
「ええ、起こすでしょうね」
「起こす、だと? 君はわかって言って…」
「いいえ、スライ」
サヨコは首を振った。
「十分わかっています。わたしが『GN』でしかないってことも、『宇宙不適応症候群』の怖さも。でも、わたし、だからこそ、これを使うわけにはいきません」
「サヨコ…」
スライは呆然とした。混乱したまま、問いかける。
「死ぬ気なのか…?」
「いえ、まったく逆です、スライ」
サヨコは笑った。したたかな鮮やかな微笑だった。その笑顔も初めてみる顔で、スライは茫然と見愡れてしまったが、続いたサヨコのことばに冷水を浴びせられたような気がして瞬きした。
「わたし、生きるために、使わないんです」
「何だって?」
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登録日 2017.03.04 21:28
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