『緑満ちる宇宙』第6章『青い聖戦』(1) アップ。
スライの部屋を出たサヨコは、医務室へと足を向けた。
通りすがりの関わりだと思っていたアイラに、あれやこれやと助けられた。礼の一つも言えないのか、というスライのことばがよみがえる。
(くやしいけど、本当よね)
だが、スライと協力していくのは並大抵のことではない。彼の中にある根深く激しい日本人への怒りは、どうしても解けないように思える。
(けれど、それはスライがそれほど傷ついていて、まだ回復していないという証拠だ)
それは裏返せば、それまでのスライの、日本人への深い信頼を語ってあまりある。
暗く重い緑の目を思い出して、サヨコは立ち止まった。
人は誰も、心の奥底に、大小さまざまの傷を抱えて生きている。どんなに小さな傷でも身動きできなくなるときはあるし、どんなに昔の傷でも治りきらないものはある。治癒はその人間の強さだけでははかれない。傷に立ち向かうときにどんな支えがあったかにもよるのだ。
(10歳のスライ)
通りすがりの関わりだと思っていたアイラに、あれやこれやと助けられた。礼の一つも言えないのか、というスライのことばがよみがえる。
(くやしいけど、本当よね)
だが、スライと協力していくのは並大抵のことではない。彼の中にある根深く激しい日本人への怒りは、どうしても解けないように思える。
(けれど、それはスライがそれほど傷ついていて、まだ回復していないという証拠だ)
それは裏返せば、それまでのスライの、日本人への深い信頼を語ってあまりある。
暗く重い緑の目を思い出して、サヨコは立ち止まった。
人は誰も、心の奥底に、大小さまざまの傷を抱えて生きている。どんなに小さな傷でも身動きできなくなるときはあるし、どんなに昔の傷でも治りきらないものはある。治癒はその人間の強さだけでははかれない。傷に立ち向かうときにどんな支えがあったかにもよるのだ。
(10歳のスライ)
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登録日 2017.02.22 23:15
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