segakiyui

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『ラズーン』『これはハッピーエンドにしかならない王道ラブストーリー』連載中。メルマガ『ショートストーリーシリーズ』『指令T.A.K.I』『ドラゴン・イン・ナ・シティ』展開。

『ラズーン』第一部 10.花祭(11)(個人サイトでアップ)

「何…だ……これは…」
 今切り裂かれた傷の真下にも、同じぐらい、いやもっと深い傷がある。脳裏を過ったのは、ここへ来るまでにカザドで襲撃されたことだ。掠っただけの傷に苦しんだユーノの腕には古傷が口を開けていた。
「…」
 不安に襲われながら、急いで周囲も改める。
 傷。
 傷。
 背中全体を埋めるように引きつれた、無数の傷痕。
「まさか…」
 残っていた衣類を切って開き、次々に現れる傷痕に凍りついた。
「ば…かな…」
 ユーノのほぼ全身を、大小さまざまな傷痕が覆っている。柔らかな布をそこら中裂いて無骨に縫い合わせたような、あるいは焼きごてで押したようにつるりと光った、そしてまた、見えないいろいろな太さの糸を彫り込んだような傷が、背中と言わず、華奢な首の付け根から肩、腕、微かに膨らんでいる胸や丸い臀部、大腿下腿に至るまで縦横に広がっている。かろうじて見当たらないのが手足の先と首から顔程度、つまりはユーノが衣服をつけていないところで。
「く」
 着れる、わけがない。
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登録日 2017.02.22 23:12

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