『闇を闇から』第3章 11.刑罰(6) 『闇を...
それから数十分後。
「有沢ぁ」
年嵩のよれよれの背広の男がうっとうしそうに有沢を詰っている。
「こんな餓鬼連れてくんなよ、忙しいのに」
「いや、僕はてっきり...
「有沢ぁ」
年嵩のよれよれの背広の男がうっとうしそうに有沢を詰っている。
「こんな餓鬼連れてくんなよ、忙しいのに」
「いや、僕はてっきり...
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登録日 2018.04.20 09:05
『ラズーン』第四部 1.カザドの胎動(2) (...
(もう、あの子が皇宮を出て一年近くなるのね)
レアナは再び、眩く光る中庭の緑に意識を戻した。
皇宮の中の活気は、ユーノ一人で保っていたようなもの、レアナは最...
レアナは再び、眩く光る中庭の緑に意識を戻した。
皇宮の中の活気は、ユーノ一人で保っていたようなもの、レアナは最...
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登録日 2018.04.20 09:04
『闇を闇から』第3章 11.刑罰(5) 『闇を...
あれは。
美並はとぼとぼと道を歩きながら、繰り返し見た光景を頭の中で再現する。
コンビニに居た不審な男と左脇腹のピンク。青年の柔らかい笑みと口元の鈍色の曇...
美並はとぼとぼと道を歩きながら、繰り返し見た光景を頭の中で再現する。
コンビニに居た不審な男と左脇腹のピンク。青年の柔らかい笑みと口元の鈍色の曇...
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登録日 2018.04.19 07:44
『ラズーン』第四部 1.カザドの胎動(1) (...
日差しは燦々と降り注いでいる。
一年中穏やかな気候を保つ小国、セレドの皇宮の中庭にも、金の光は惜しみなく降って、あたりの何もかもを見る者の目を痛くしそうな眩...
一年中穏やかな気候を保つ小国、セレドの皇宮の中庭にも、金の光は惜しみなく降って、あたりの何もかもを見る者の目を痛くしそうな眩...
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登録日 2018.04.19 07:44
『闇を闇から』第3章 11.刑罰(4) 『闇を...
とにかく、様子を見てみよう。
体調が悪そうだったりしたら、それとなく顔色が悪いですよ、とかそんな感じで伝えられたら。
そう考えて、美並はそれから時々そのコ...
体調が悪そうだったりしたら、それとなく顔色が悪いですよ、とかそんな感じで伝えられたら。
そう考えて、美並はそれから時々そのコ...
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登録日 2018.04.18 07:49
『ラズーン』第三部 13.失われた都より(3)...
(詩(うた)……?)
眠りの中で、ユーノはぼんやりと呟いた。
どこかで聞いたことのある詩(うた)だ。一体いつのことだっただろう。
だが、疲れ切っている心は、...
眠りの中で、ユーノはぼんやりと呟いた。
どこかで聞いたことのある詩(うた)だ。一体いつのことだっただろう。
だが、疲れ切っている心は、...
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登録日 2018.04.18 07:48
『闇を闇から』第3章 11.刑罰(3) 『闇を...
難波孝は結局自殺した、そういうことなのだろうか。
去っていく明に手を振って、美並は喫茶店の前で向きを変え、ゆっくりと歩き出す。
『で、ここまで来れば想像つく...
去っていく明に手を振って、美並は喫茶店の前で向きを変え、ゆっくりと歩き出す。
『で、ここまで来れば想像つく...
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登録日 2018.04.17 09:33
『ラズーン』第三部 13.失われた都より(11...
そして、小部屋の最後の一人が、奇しくも賢者と同じように運命の手による判断を選んだ後、やってきた来訪者は、小部屋の持つ機能と隠されていた意図を全て理解した。そし...
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登録日 2018.04.17 09:32
『闇を闇から』第3章 11.刑罰(2) 『闇を...
「写真あるよ、見る?」
「写真?」
そんなものがよく手に入った、と美並が呆れると、明がくすくす笑って軽く片目をつぶる。
「俺もそれなりに人脈が」
でなきゃ営...
「写真?」
そんなものがよく手に入った、と美並が呆れると、明がくすくす笑って軽く片目をつぶる。
「俺もそれなりに人脈が」
でなきゃ営...
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登録日 2018.04.16 23:25
『ラズーン』第三部 13.失われた都より(10...
『太皇(スーグ)』は『氷の双宮』の地下の部屋、五つの水槽が並ぶ部屋で、水槽の一つに浮かんでいるユーノをじっと見つめていた。
『狩人の山(オムニド)』に出かけ...
『狩人の山(オムニド)』に出かけ...
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登録日 2018.04.16 23:24
『闇を闇から』第3章 11.刑罰(1) 『闇を...
「美並」
喫茶店に入ったとたん、声をかけられて振り返ると、明が軽く手を振った。
「ごめんね、待たせた?」
「こっちも今来たとこ」
明の前には湯気をたてるコー...
喫茶店に入ったとたん、声をかけられて振り返ると、明が軽く手を振った。
「ごめんね、待たせた?」
「こっちも今来たとこ」
明の前には湯気をたてるコー...
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登録日 2018.04.15 09:09
『ラズーン』第三部 13.失われた都より(9)...
進むに従って、孤管(クート)に似た柔らかな音は大きくなっていった。もっとも、辺りに響き渡るというまではいかず、ふと気づけば周囲にいつもその音が鳴っているような...
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登録日 2018.04.15 09:08
『闇を闇から』第3章 10.ドローゲーム(8)...
「お待たせしました」
響子がコーヒーを運んできてくれて、もう買い物はしないんです、と言いにくくなったなと思いつつ、京介は礼を言ってカップを取り上げた。
「他の...
響子がコーヒーを運んできてくれて、もう買い物はしないんです、と言いにくくなったなと思いつつ、京介は礼を言ってカップを取り上げた。
「他の...
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登録日 2018.04.14 09:10
『ラズーン』第三部 13.失われた都より(8)...
「呼んでる……行かなきゃ」
「ああ」
アシャは引き止めることなく、両腕を広げた。
(やっぱり)
私のものじゃ、ないんだ。
「いってきます」
痛みが心に鮮烈な...
「ああ」
アシャは引き止めることなく、両腕を広げた。
(やっぱり)
私のものじゃ、ないんだ。
「いってきます」
痛みが心に鮮烈な...
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登録日 2018.04.14 09:10
『闇を闇から』第3章 10.ドローゲーム(7)...
京介が脚を向けたのは『MURANO』だった。
こういう店にしては早くに開いているのは、昼までに商品を見立てたい客もいるからと以前聞いたことがあった。そのことで村野...
こういう店にしては早くに開いているのは、昼までに商品を見立てたい客もいるからと以前聞いたことがあった。そのことで村野...
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登録日 2018.04.13 10:43
『ラズーン』第三部 13.失われた都より(7)...
ラズーンの中央部を囲む白い内壁は、いつかの夜のように厳然として聳えたっていた。扉は固く閉ざされていて、誰一人の侵入も許さない。
「よし、お帰り」
アシャは馬...
「よし、お帰り」
アシャは馬...
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登録日 2018.04.13 10:42
『闇を闇から』第3章 10.ドローゲーム(6)...
どこが大人だ。
京介はずるずると渡来の前で崩れそうになっていく自分に舌打ちする。
こんな子どもに言い含められ迫られ圧倒されて。
格好ばっかり整えたって、...
京介はずるずると渡来の前で崩れそうになっていく自分に舌打ちする。
こんな子どもに言い含められ迫られ圧倒されて。
格好ばっかり整えたって、...
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登録日 2018.04.12 07:52
『らズーン』第三部 13.失われた都より(6)...
どこへ?」
思わず問いかけていた。
アシャが微かに目を細める。紫色の瞳が一瞬闇を宿すように暗くなる。
「すぐに戻るさ」
(嘘をついた…?)
「アシャ、」
思わず問いかけていた。
アシャが微かに目を細める。紫色の瞳が一瞬闇を宿すように暗くなる。
「すぐに戻るさ」
(嘘をついた…?)
「アシャ、」
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登録日 2018.04.12 07:51
『闇を闇から』第3章 10.ドローゲーム(5)...
「諦めろ」
きっちり渡来はそう言った。
「美並」
「なぜ君にそんなことを言われなくちゃならない」
思わず京介の口を突いた反論。
「君は伊吹さんの何?」
あ...
きっちり渡来はそう言った。
「美並」
「なぜ君にそんなことを言われなくちゃならない」
思わず京介の口を突いた反論。
「君は伊吹さんの何?」
あ...
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登録日 2018.04.11 07:42
『ラズーン』第三部 13.失われた都より(5)...
「……」
ユーノはそろりとベッドから滑り降りた。
右肩の傷は動かしてもほとんど痛みを感じなくなっていた。
着ていた夜着を脱ぎ、自分用に仕立てられた白の短衣を...
ユーノはそろりとベッドから滑り降りた。
右肩の傷は動かしてもほとんど痛みを感じなくなっていた。
着ていた夜着を脱ぎ、自分用に仕立てられた白の短衣を...
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登録日 2018.04.11 07:41