『古城物語』 6.碧緑の間 アップ。
翌日も、周一郎の容態ははかばかしくなかった。
「あっと、ダンケ、マリーネ」
朝食を持って来てくれたマリーネが、にこりと邪気のない笑みを見せる。
(やっぱり誰...
「あっと、ダンケ、マリーネ」
朝食を持って来てくれたマリーネが、にこりと邪気のない笑みを見せる。
(やっぱり誰...
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登録日 2016.10.25 23:48
『古城物語』 5.猫は考える アップ。
「凄まじいことになっちまったなあ」
俺は溜め息まじりに呟いた。
陽射しは相変わらず明るく、緑豊かな城の庭園に満ちている。深緑の垣が芝生を幾重にも切り、色鮮や...
俺は溜め息まじりに呟いた。
陽射しは相変わらず明るく、緑豊かな城の庭園に満ちている。深緑の垣が芝生を幾重にも切り、色鮮や...
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登録日 2016.10.24 22:14
『桜の護王』13.磐座(1)アップ。
石の床をすり抜けて洋子はどんどん深みに沈んでいった。
始めは横たわっていたが、そのうち何者かの柔らかな手でゆっくりと向きを変えられて、地面の中心に向けて垂直に...
始めは横たわっていたが、そのうち何者かの柔らかな手でゆっくりと向きを変えられて、地面の中心に向けて垂直に...
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登録日 2016.10.24 22:13
『古城物語』 4.天使死す アップ。
バランスの取れた十分な朝食がすむと、俺は玲奈に誘われ、城の上に上がった。
周一郎は部屋で仕事があると言って来ていない。
「……と…」
吹きつけた風にジャンパ...
周一郎は部屋で仕事があると言って来ていない。
「……と…」
吹きつけた風にジャンパ...
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登録日 2016.10.24 00:38
『古城物語』 3.聖少女 アップ。
海部敏人は、自分の娘が、大切な婚約者の友人、つまりは俺、に怪我をさせたことを平謝りした。
「さあ! 朋子! お前も謝るんだ!」
応接室には僅かに暖房が入って...
「さあ! 朋子! お前も謝るんだ!」
応接室には僅かに暖房が入って...
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登録日 2016.10.22 03:59
『古城物語』 2.怪我のし始め アップ。
北回りのヨーロッパ線でアンカレッジから西ドイツの北の玄関ハンブルク、足を伸ばしてフランクフルトまで行って約十九時間の空の旅……そう言われたのは一昔前。
現在で...
現在で...
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登録日 2016.10.20 21:28
『古城物語』 1.エスケープ
「コ、コンニャクシャ?!」
「婚約者です」
「誰の?」
「僕の」
沈黙が俺と周一郎の間に漂った。何かの聞き間違いではないかと、真正面から周一郎の淡々とした顔を見...
「婚約者です」
「誰の?」
「僕の」
沈黙が俺と周一郎の間に漂った。何かの聞き間違いではないかと、真正面から周一郎の淡々とした顔を見...
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登録日 2016.10.19 19:28
『桜の護王』12.召命(2) アップ。
春の月にしては清冽な、きんきんと痛いほど鮮やかな月だった。
その月を何かを思い出すようにしばらく見上げていた護王が、朱に染まった体をふらりと振り向かせた。...
その月を何かを思い出すようにしばらく見上げていた護王が、朱に染まった体をふらりと振り向かせた。...
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登録日 2016.10.16 19:31
『BLUE RAIN』PASSION VALENTINE (番外編...
愛していると囁くのは平気だ。
けれど、俺達の間にはいろいろなことがあったから、シーンに信じてもらえてないかもしれない。
それが時々不安になる。
俺の気持...
けれど、俺達の間にはいろいろなことがあったから、シーンに信じてもらえてないかもしれない。
それが時々不安になる。
俺の気持...
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登録日 2016.10.16 19:30
『BLUE RAIN』番外編MIDNIGHT LADY(一部...
「女装?」
「そうだ」
俺はファレルをじっと見つめた。
「誰が」
「まあ、お前かスープのどっちかが」
「真面目に話せよ」
「真面目に話してる」
「何で張り込み...
「そうだ」
俺はファレルをじっと見つめた。
「誰が」
「まあ、お前かスープのどっちかが」
「真面目に話せよ」
「真面目に話してる」
「何で張り込み...
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登録日 2016.10.15 22:49
『BLUE RAIN』最終話 27.VIRIDIAN CIRCLE...
あれからもう30年たったなんて信じられねえ。
俺は少しよろめきながら街の一画にある墓を訪れていた。
微かな雨が降っている。やつとの思い出は雪のときのことが多...
俺は少しよろめきながら街の一画にある墓を訪れていた。
微かな雨が降っている。やつとの思い出は雪のときのことが多...
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登録日 2016.10.15 02:05
『BLUE RAIN』26.CRIMSON NIGHT アップ。
『いい知らせです』
「ん?」
『双児が生まれました』
「へえ」
『もう一人、妊娠している女性がいます』
数カ月後『グランドファーム』の主はどこか嬉しそうに俺に...
「ん?」
『双児が生まれました』
「へえ」
『もう一人、妊娠している女性がいます』
数カ月後『グランドファーム』の主はどこか嬉しそうに俺に...
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登録日 2016.10.12 18:26
『BLUE RAIN』25.SALMON CLAY アップ。
ファレルが駆け付けて来たのは、それから数分たっていなかっただろう。
「残念です、パターソン管理官」
「……」
「『グランドファーム』があなたに事情聴取したいと」...
「残念です、パターソン管理官」
「……」
「『グランドファーム』があなたに事情聴取したいと」...
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登録日 2016.10.11 21:01
『BLUE RAIN』24.KHAKI DREAM アップ。
ナタシアの家屋の床に転がっていたシーンの姿を思い出すと、疑似体液が沸騰する。
胃液を吐き戻しながらのたうっていた彼をルシアは首を掴み上げて吊るした。唾棄する...
胃液を吐き戻しながらのたうっていた彼をルシアは首を掴み上げて吊るした。唾棄する...
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登録日 2016.10.11 00:54
『BLUE RAIN』23.NAVY SYSTEM アップ。
そうだ、命は終わる。永遠は『人』にはない。
だからこそ『人』は身体を残してつなぐかわりに、心を繋いで生きてきた。始まりも終わりも引き受けて、それらを見守るも...
だからこそ『人』は身体を残してつなぐかわりに、心を繋いで生きてきた。始まりも終わりも引き受けて、それらを見守るも...
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登録日 2016.10.09 00:41
『桜の護王』12.召命(1)アップ。
「あたしに……それ…ちょうだい……」
(綾、香…)
「な…護王……護王…」
「!」
再び唇を合されて、けれど今度はきつく噛みつかれもして、洋子は顔を歪めた。とろりとした...
(綾、香…)
「な…護王……護王…」
「!」
再び唇を合されて、けれど今度はきつく噛みつかれもして、洋子は顔を歪めた。とろりとした...
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登録日 2016.10.09 00:39
『BLUE RAIN』22.IVORY CROSS アップ。
蹴られた腹が落ち着いて、何とか立てるようになった。
「俺が宝物だ? ふざけんじゃねえ」
沸き上がったのは強烈な怒りだ。歯を食いしばり、壁にもたれながら体を立...
「俺が宝物だ? ふざけんじゃねえ」
沸き上がったのは強烈な怒りだ。歯を食いしばり、壁にもたれながら体を立...
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登録日 2016.10.08 00:26
『BLUE RAIN』21.OPERA PHANTOM アップ...
『グランドファーム』の一室はいつものように静まり返っていた。
繭のような半透明のカプセルの前で少しためらう。
まだ決心がついていない。シーンは『俺』を必要...
繭のような半透明のカプセルの前で少しためらう。
まだ決心がついていない。シーンは『俺』を必要...
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登録日 2016.10.07 00:46
『BLUE RAIN』20.GLAY ZONE アップ。
電話を切って一時間たたないうちに、やつは側に立っていた。
「シーン」
掠れた声がそっと俺を呼ぶ。目を開けると、びくっと身体を震わせた。
「早かったな」
「戻...
「シーン」
掠れた声がそっと俺を呼ぶ。目を開けると、びくっと身体を震わせた。
「早かったな」
「戻...
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登録日 2016.10.05 21:53
『BLUE RAIN』19.MAZENTA CHRISTMAS アッ...
署に戻ってきたのは夕方近くだった。
「なんだ、こりゃ?」
待っているはずのスープの代わりに、やつのデスクに山積みにされた書類に戸惑う。
「あ、それな、ゲリの...
「なんだ、こりゃ?」
待っているはずのスープの代わりに、やつのデスクに山積みにされた書類に戸惑う。
「あ、それな、ゲリの...
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登録日 2016.10.04 23:48