『桜の護王』15.無限環(6)アップ。(個人サ...
どれほど舞っていたのだろう。
零れた涙ももうかなりが闇に呑み込まれた。所作を繰り返し、幻の護王に気持ちも体もぴたりと重ねて舞っていれば、いるはずのない人、も...
零れた涙ももうかなりが闇に呑み込まれた。所作を繰り返し、幻の護王に気持ちも体もぴたりと重ねて舞っていれば、いるはずのない人、も...
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登録日 2016.11.27 20:58
『周一郎舞台裏』1.シーン201(2)アップ。
「ちぇっ…」
安アパートの階段は、いつ塗り直したのかわからないほど錆が浮いた鉄製だ。へたな場所を踏むと、鉄なのにぎい、と妙な音をたててきしむあたりが恐ろしい。...
安アパートの階段は、いつ塗り直したのかわからないほど錆が浮いた鉄製だ。へたな場所を踏むと、鉄なのにぎい、と妙な音をたててきしむあたりが恐ろしい。...
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登録日 2016.11.27 00:23
『桜の護王』15.無限環(5)アップ。(個人サ...
次の一瞬、だらっと投げ出していた護王の手が弾かれたように飛んだ。額に当てられていた銃身を握って外側へ引き剥がすと同時に顔を避ける。
ぱんっ……がきっ!
「あほ...
ぱんっ……がきっ!
「あほ...
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登録日 2016.11.27 00:02
『桜の護王』15.無限環(4)アップ。(個人サ...
「……護王」
響いた声にびくっ、と護王は目を見開いた。
「どうした」
幸一郎が顔をしかめて尋ねてくるのに眉をひそめる。
「いま…」
「今? 何だ?」
額に当...
響いた声にびくっ、と護王は目を見開いた。
「どうした」
幸一郎が顔をしかめて尋ねてくるのに眉をひそめる。
「いま…」
「今? 何だ?」
額に当...
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登録日 2016.11.25 22:50
『桜の護王』15.無限環(3)アップ。(個人サ...
桜はしばらく黙っていたが、やがてためらうように頼りなげにつぶやいた。
側に居てくれるのか。
その響きが護王の声にそっくりで一瞬胸が詰まったのを、洋子は歯を...
側に居てくれるのか。
その響きが護王の声にそっくりで一瞬胸が詰まったのを、洋子は歯を...
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登録日 2016.11.24 23:42
『桜の護王』15.無限環(2)アップ。(個人サ...
(では、護王はどうなるのですか?)
記憶を奪い心を封じ体を我が内に取り込んで眠りにつかせる。
そうすればごおうも最早傷つかず、我もまたさみしさがまぎれ、...
記憶を奪い心を封じ体を我が内に取り込んで眠りにつかせる。
そうすればごおうも最早傷つかず、我もまたさみしさがまぎれ、...
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登録日 2016.11.24 01:07
『アシュレイ家の花嫁』《エピローグ》 ア...
(あれから3年になる)
マ-スは入った部屋のドアをゆっくり閉めて、ぼんやりと主のいないベッドを見た。
カーテンを開けた窓から光が入り込み、ベッド脇の赤い室内...
マ-スは入った部屋のドアをゆっくり閉めて、ぼんやりと主のいないベッドを見た。
カーテンを開けた窓から光が入り込み、ベッド脇の赤い室内...
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登録日 2016.11.22 00:35
『桜の護王』15.無限環(1)アップ。(個人サ...
餓えが人々を襲い弱き者脆き者が強き者猛き者に喰らわれた。
だがそうして貪った者も天運伴わず次々と死んでいく。
この里は死人に満ち腐臭に浸された。
その中...
だがそうして貪った者も天運伴わず次々と死んでいく。
この里は死人に満ち腐臭に浸された。
その中...
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登録日 2016.11.22 00:32
『アシュレイ家の花嫁』11.世界 アップ。
「ひ…」
意識が戻ったその瞬間、マ-スは身体の中から音をたてて血が引くのを感じた。
「いや…だ…」
無意識に漏れた自分のつぶやきを聞き取って既にべっとりと汚れ...
意識が戻ったその瞬間、マ-スは身体の中から音をたてて血が引くのを感じた。
「いや…だ…」
無意識に漏れた自分のつぶやきを聞き取って既にべっとりと汚れ...
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登録日 2016.11.20 12:56
『桜の護王』14.鳴滝(2)アップ。
空気は生温く護王を包んでいる。気持ちも心も、もうそれほどもたないことを護王は感じ取っている。
ひたすらに診療所に急ぐのは最後のケリをつけるためだ。
洋子を...
ひたすらに診療所に急ぐのは最後のケリをつけるためだ。
洋子を...
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登録日 2016.11.20 12:00
『アシュレイ家の花嫁』10.愚者 アップ。
「芽理」
呼ばれて振り返ると、クリスがまばゆそうな目をしてこちらを見ていた。
「部屋に戻るの?」
舌足らずに問いかけられる。マ-スを思わせる声の甘さにも芽理...
呼ばれて振り返ると、クリスがまばゆそうな目をしてこちらを見ていた。
「部屋に戻るの?」
舌足らずに問いかけられる。マ-スを思わせる声の甘さにも芽理...
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登録日 2016.11.19 11:40
『桜の護王』14.鳴滝(13)アップ。(個人サ...
「何がお前と違う…? そう、可能性は一つだ。お前のように、花王紋はあるにせよないにせよ、花王紋を持った女を繰り返し喰べ続ければいいのだ」
幸一郎がべろりと長い...
幸一郎がべろりと長い...
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登録日 2016.11.19 10:41
『桜の護王』14.鳴滝(12)アップ。(個人サ...
たんっ! たんっ!
「はっ…っあっ!!」
僅かな間隔をあけて続けざまに同じ音が響き、最初の音を耳にして跳ね上がるように体を起こした護王の背中に鮮血が散った。...
「はっ…っあっ!!」
僅かな間隔をあけて続けざまに同じ音が響き、最初の音を耳にして跳ね上がるように体を起こした護王の背中に鮮血が散った。...
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登録日 2016.11.17 08:25
『アシュレイ家の花嫁』8.運命の輪 アップ...
クリスと入れ代わりに部屋を出た芽理は扉を閉めて深い溜息をついた。
「ふ…ぅ」
そのとたん、ぼろぼろと吹き零れた涙を慌てて拭う。
(マ-ス…)
拭った手にはマ...
「ふ…ぅ」
そのとたん、ぼろぼろと吹き零れた涙を慌てて拭う。
(マ-ス…)
拭った手にはマ...
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登録日 2016.11.16 23:42
『桜の護王』14.鳴滝(11)アップ。(個人サ...
「……ふ…」
「!!」
今まさに綾香を屠ろうとした護王は背後で微かな吐息が動いたのに硬直した。
「姫…さん…?」
顔を青ざめさせながらそろそろと振り返る。
ベッ...
「!!」
今まさに綾香を屠ろうとした護王は背後で微かな吐息が動いたのに硬直した。
「姫…さん…?」
顔を青ざめさせながらそろそろと振り返る。
ベッ...
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登録日 2016.11.16 23:12
『桜の護王』14.鳴滝(10)アップ。(個人サ...
護王の絶望がちりちりと洋子の胸を焼いていく。
ごめんな、姫さん。
俺が長く生き過ぎたんや。
俺が長く生き過ぎたから、あんたをここまで追い込んだ。
そや...
ごめんな、姫さん。
俺が長く生き過ぎたんや。
俺が長く生き過ぎたから、あんたをここまで追い込んだ。
そや...
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登録日 2016.11.16 00:51
『アシュレイ家の花嫁』8.運命の輪 アップ...
長い間、ずいぶんと長い間、マースは暗くて寒い場所を漂っていた。
(今度こそ、死ねたのかもしれない)
そう思うと、ほっとしたような気持ちと同時に、微かに胸が傷...
(今度こそ、死ねたのかもしれない)
そう思うと、ほっとしたような気持ちと同時に、微かに胸が傷...
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登録日 2016.11.14 23:19
『桜の護王』14.鳴滝(9)アップ。(個人サイ...
びく、と護王は体を震わせて綾香を見返した。
「それを……姫さんに…言うたんか」
辛そうに顔を歪めてうめく。
「そや、言うたったんや! あんたは花王紋があるから...
「それを……姫さんに…言うたんか」
辛そうに顔を歪めてうめく。
「そや、言うたったんや! あんたは花王紋があるから...
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登録日 2016.11.14 08:37
『桜の護王』14.鳴滝(8)アップ。(個人サイ...
空気は生温く護王を包んでいる。気持ちも心も、もうそれほどもたないことを護王は感じ取っている。
ひたすらに診療所に急ぐのは最後のケリをつけるためだ。
洋子を...
ひたすらに診療所に急ぐのは最後のケリをつけるためだ。
洋子を...
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登録日 2016.11.13 22:34
『アシュレイ家の花嫁』7.塔 アップ。
「……っは」
鋭い痛みが下半身から背中を貫くように駆け上がってきて、気がついた。
「マース」
マージが薄笑いを浮かべながらマースの身体の上に乗っている。両頬を...
鋭い痛みが下半身から背中を貫くように駆け上がってきて、気がついた。
「マース」
マージが薄笑いを浮かべながらマースの身体の上に乗っている。両頬を...
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登録日 2016.11.13 01:04