ミスドで「これ」注文する人すごい→実は年間600万食売れる人気メニュー

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ミスタードーナツの「汁そば」(公式サイトより)

 ミスタードーナツが展開する飲茶メニューのひとつ「汁そば」に対するネット上の評価が割れている。あるXユーザーが低評価を下したところ、「ミスドで一番うまい」と反発する声が続出。30年以上続く飲茶は、どれほど人気なのか。単なるドーナツチェーンというイメージを一新した飲茶は、ミスドのなかでどのような位置づけなのか。ミスド広報部に直接、話を聞いた。

 国内最大のドーナツチェーン、ミスタードーナツが展開する「ミスター飲茶」のメニューなかで、「汁そば」が一番うまいとの声が続出している。きっかけは、あるXユーザーが「大谷翔平もすごいけどミスド来てこれ食べる人もすごい」と、まるで汁そばをキワモノかのような投稿をしたことだ。すると、「うそだろ、いちばん美味いのに」「ミスドは汁そばが一番美味いだろ」「数々のラーメンを食べてきたけど ミスドの汁そばはガチで美味い」など、ミスドの汁そばはおいしい、と絶賛する声が相次ぎ、冒頭の投稿を否定する投稿があふれた。

 ミスドは1992年、日本独自メニューとして「ミスター飲茶」の提供を開始。飲茶メニュー登場時のキャッチフレーズは「サンフランシスコのチャイナタウンの飲茶」。それ以来、飲茶メニューは、「汁そば」「四川担々麺」「たまごチャーハン」などが定番商品として提供されている。ほかにもこれまでに、「肉まん」「シューマイ」「エビ蒸し餃子」などの点心、「おかゆセット」などの軽食なども販売されてきた。

 さらに2017年、パスタやピザ、ホットドッグ、カレーパンなどの食事メニュー「ミスドゴハン」も発売され、ミスドはもはや単なるドーナツ店ではなく、食事処としても認知されるようになった。

 ミスドの飲茶が生まれた背景には、1990年代に軽食もスイーツも出せるカフェに昼食時の集客を奪われがちだったことから、その状況を打開するための策だったといわれている。それ以来、30年以上にわたって定番メニューとして飲茶が続いているのは、根強いファンに支えられているからにほかならない。定期的に飲茶を食べるためにミスドを訪れているというファンが少なくない。そんなファンたちの声をネット上で拾ってみても、やはり汁そばの評価は高いようだ。

ミスドの飲茶で一番人気のメニューは?

 そこで、Business Journal編集部はミスドの広報室に直接、話を聞いてみた。

――長らく続いている飲茶ですが、年間のご利用者数はどれほどあるのでしょうか。

ミスド広報室「2023年実績で約600万食となっております」

――昼食時の集客手段として始まったかと思われますが、飲茶のご利用者が多い時間帯は何時ごろでしょうか。

ミスド広報室「お昼ごろにご利用いただくお客様が多いです」

――ネット上では汁そばを「一番うまい」と評価する声が散見されますが、人気メニューはどれでしょうか。

ミスド広報室「2023年の飲茶の人気ランキングは1位:汁そば、2位:四川担々麺、3位:たまごチャーハンハーフ となっており、汁そばが一番人気となっております(集計期間は2023年1月1日~12月31日)。また、10月2日(水)よりミスタードーナツ台湾ゴハン祭りとして台湾のメニューをイメージした飲茶も登場しますので、ぜひお楽しみいただけますと幸いです」

 ミスドの食事メニューは、期間限定商品も定期的に発売され人気となるが、定番の汁そばはそれらに負けない根強い人気を誇っている。むしろ、根強い人気があるからこそ、定番商品として残り続けているのかもしれない。

 ミスドは2014年3月期から2017年3月期まで赤字が続いていたが、ミスドを展開するダスキンの2024年3月期の決算で、フードセグメントが約584億円、前の期の約489億円から19.6%の増加。セグメント利益も前期の約54.7億円から、約69.2億円に伸長。特に営業利益率は、コロナ禍以降急上昇して11.7%にまで上昇。

 2000年4月から12月にかけて販売された肉まんに、無認可の添加物TBHQが使用されていたことが2002年に発覚し、急速に業績が悪化。一時は売り上げが70%もダウンした。だが、割引販売を行うなど迅速に対応したことで急回復。その後も定期的に割引キャンペーンを行い、“安くてうまいドーナツ”のイメージを定着させ、ミスドファンを確実につかまえてきた。

 だが、ここ数年、ミスドはたびたび値上げを敢行し、今や“安いドーナツ”ではなくなりつつある。それでも客足が落ちていないのは、ミスドの経営戦略が成功しているといえるだろう。

 かつてコンビニがドーナツ販売に注力した時期があった。ドーナツ店から客を奪おうとしたが、各チェーンとも失敗し、撤退を余儀なくされた。2014年にコンビニ業界で真っ先にレジ横でドーナツ販売を始めたセブン-イレブンが今年、再びドーナツで勝負を挑み始めた。再び“ドーナツ戦争”が始まるのか、注視したい。

(文=Business Journal編集部)