Apple Watchは、iPhoneと組み合わせて使うスマートウォッチだ。iPhoneは世界のスマートフォンのシェア20%前後で推移するなか、Apple Watchはスマートウォッチの中で最も出荷台数の多い製品となっている(Statista調べ)
Apple Watchにふんだんに盛りこまれているヘルスケア機能は、このデバイスを装着する大きな理由の一つとして支持されており、世界中から病気の早期発見や生活習慣病の改善に役立った、との声が届いている。
2月、アップルでヘルスケア担当バイスプレジデントを務めているサンブル・デサイ氏に都内でインタビューし、Apple Watchを通じた人々の健康をより良くするための取り組みについて聞いた。
デサイ氏は、Apple Watchがなぜ、ヘルスケアに役立つようになったのか、次のように語った。
「私たちの健康への取り組みは、とても自然なところから始まりました。Apple Watchを着け始めてすぐに、加速度センサーと心拍センサー、そして正確な運動計算のアルゴリズムによって、消費カロリーを記録して表示するようにしました。そして心拍数の上昇を知らせる通知が届くようになります。
その結果、顧客は『私は腕時計を、自分の健康状態の洞察を得るために着けている』と考えるようになりました。
同時に、メッセージや通話といった電話を助ける機能の活用から、スヌーピーまで眺めることができます。人々がいつも身に着けていたいというあらゆる機能があったからこそ、人々は身に着けるようになり、心拍数の変化から、何かを察し始めたのです。
単なる心拍計だけだったら、誰も着け続けようと思わないでしょう」(デサイ氏)
デサイ氏によると、ヘルスケアへの関心の高まりは、Apple Watch Series 3で搭載した「心拍数と不規則な心拍リズムの通知」でより大きくなったという。
この機能にある高心拍数通知は、安静にしているときに、急に心拍が上昇した場合に作動するもので、これに続いて低心拍通知を導入。これらの機能に対して、顧客から多くの手紙が届くようになり、この通知をきっかけに病院での診察を行い、心臓病の治療に役立ったというものが多くを占めた。
Apple Watchには、加速度センサーのほかに、心拍センサー、心電図、血中酸素といった、心臓を中心とした体の状態を検出するためのセンサーやアプリが組み込まれている。
これらのデータは、心拍数や心電図のアプリ、血中酸素ウェルネスアプリを通じて、ユーザーが好きなときにいつでも取得することができるほか、心拍数や血中酸素濃度については、手首に装着していれば、定期的に計測してくれる。
そのため、頻脈や徐脈など、病院でいざ検査しようともなかなかデータが採りにくい心房細動の兆候を察知したり、日常的な心電図の計測で不整脈のデータを記録するといった成果を挙げている。
小さなデバイスの中に複数の異なるセンサーが備わっていることで、より多くを知ることができる。例えば前述の心拍センサーと、エクササイズ機能等で使われるGPSを組み合わせることで、心肺機能レベルの低下や改善を通知できるようになった。
こうした新しい知見や発見は、医師でもあるデサイ氏にとっても、科学的な見地から、非常にわくわくするものだったという。