ドラマでいえば、今は超リアルと超アンリアルがキーワードとなるものがトレンドを引っ張りつつ、配信コンテンツ全体では細分化が進んでいることも事実だ。視聴者も多様なコンテンツを求めているなかで、チャレンジングなものを受け入れられる土台があるということだ。
これは非英語コンテンツにチャンスが広がっているとも言える。「イカゲーム」の世界ヒット以降も韓国コンテンツがリードし続け、良質で多様なジャンルが支持されていることが証明している。さらにアジアの中で韓国に追随していこうとする動きはここのところ高まっている。インドやタイ、インドネシア、台湾、香港のドラマ制作者に直接話を聞く機会があるなかで実感していることでもある。
例えば、Netflixインドネシアオリジナルの「ザ・ビッグ4」を手がけたティモ・ジャヤント氏が自身のストーリー作りについて「すべての人を喜ばせることはできない。だから、たとえ全世界配信を前提としたNetflixにおいても普段から自分がやっていることをやり、ローカルの視聴者に届けることが重要だと思う」と潔く答えていたのが印象的だった。
世界トレンドを意識しすぎず、それぞれの得意ジャンルを生かすかたちはアジアの制作者の共通認識となりつつある。だが、これはあくまでも現時点の状況である。数年後には、圧倒的な強さを示すユーチューブの影響によって文化や国境の壁を越えていく可能性は高い。グローバルに活躍できるチャンスを失う前に、2024年こそ時代の波に乗るべきときなのである。