芸術的功績や経済にもたらす貢献も大きく、ニューヨーク芸術協会(Municipal Arts Society of New York)や街の文化を保存するための非営利団体から、人々の文化的な生活に大きな貢献をしたとして賞を贈られており、国立芸術基金(National Endowment for the Arts)、市長観光助成金(Mayor’s Tourism Grant)、マンハッタン区長観光イニシアティブ(Manhattan Borough President’s Tourism Initiative)から、多額の助成金が出ている。
公式サイトは、このパレードは「何十万人もの観光客、および推定9000万ドル(約133億円)の観光収入をもたらす」としている。
もともとハロウィンは収穫祭や悪霊払いに由来しており、ヴィレッジ・ハロウィンパレードも、家族向けを意識して構成される。仮装、出し物、山車も子どもが喜びそうな仕掛けもある。
渋谷ハロウィンと非常に性質が似ているイベントとしてイギリスのノッティングヒル・カーニバルがある。ロンドン西部で毎年8月に開催されるカリブ文化を祝うイベントで、カリブ系住民らが軽快な音楽に合わせて踊り、街を練り歩く。毎年約100万人が参加する欧州最大級の祭典で、多民族・多文化都市としてのロンドンを象徴する。
カーニバルは50年以上の歴史を持つが、1970年代はカーニバル期間中となると万引きや盗難といった犯罪が多発していたため、警察は厳しい取り締まりを行っていた。しかし、最近では、警察官がパフォーマーとの記念写真に応じたり、自ら踊りを披露したりと、協力的な姿勢を見せている。
地元住民や警察との連携が密に行われ、企業スポンサーもいることで地域に対する経済効果も大きく、観光資源として認知されている。JN 銀行の経済学者ジェームズ・ウィリアムズ氏は、ザ・ヴォイスが委託した調査で、直接的または純経済的影響は年間 3 億 9600 万ポンド(約780億円)を超え、宿泊、食事、買い物、娯楽、旅行への多額の支出がその総額に寄与していることを明らかにした。
ウィリアムズ氏の分析は、2003 年以来カーニバルの経済的影響を調査する初の調査であり、ヨーロッパ最大のストリート フェスティバルは 3000 人分のフルタイム雇用を支え、毎年約 16 万人の海外観光客を惹きつけていることがわかった。
興味深いのはイベントに対して「地元のオーナーシップ意識」があることである。ロンドン市長は、23年に運営費の増加、追加準備、群衆管理サポートのために、94万6300ポンドを支出している
日本国内では、公式に運営されるハロウィンイベントとしてカワサキハロウィンが知られてきた。川崎市内のシネマコンプレックス「チネチッタ」などを運営するチッタ エンタテイメントが公式な運営母体となり、1997年の開始以来年々2割増しくらいで20年かけて拡大し、運営側もノウハウを蓄積していった。
川崎市と商店街が協力し、親子で楽しめるパレードや地域連携の強化が進められ、街に愛されるイベントに成長。2010年代には主催25団体、パレード参加者約3000人、観覧者12万人にまで拡大した。しかし、2015年頃には盛り上がりのピークを過ぎ、少しずつ応募数が減少。一方で観客数は右肩上がり、規模が大きくなり過ぎたことで、警備の労力と宣伝効果との採算が見合わなくなってきて、チッタ エンタテイメントは21年に「カワサキ ハロウィン」の中止を発表した。渋谷の騒動など、過熱化したハロウィンブーム全体にネガティブな印象がついたことも無視できない要因だった。