――当然、この結果を糧にして来年以降に向かうと思いますが、この日本シリーズで敗れたということは、監督にとって、あるいは選手たちにとって、何か得るものがあったとは思いますか?
髙津 選手がどう思っているのかはわからないですけども、個人的にはめちゃめちゃ燃えています。ずっと、そういう感情で野球をやってきたような気はするんですが、「絶対やり返してやる、絶対このまま終わらない」と思いながら現役時代もやっていたなと思うと、今はそのときと同じ感情かもしれないですね。そこまでたどり着くのにすごく時間と労力とを費やしてやっとその舞台に立てるんですけど、まあ、なかなか簡単には立てないとは思うんですけど、「ぜひ、もう1回、来年その舞台に立って勝ちたいな」と思いますね。強く思いますね。
――相手はオリックスがいいですか?
髙津 いやいや、もうどこが相手であろうと、1番になりたいです。
――就任1年目に最下位になったときの悔しさと、今年日本一を逃した悔しさと、これは比較できるものですか。質的には「同じ」とか「違う」とかはありますか?
髙津 いや、1年目の悔しさは、「こんなにダメなのか……」と思う悔しさだったので、同じ「悔しい」でも、ちょっと意味合いが違うかもしれないですね。今回の悔しさは、「ここまで来たのに、あと1歩だったのに、もっとできることがあったんじゃないかな」っていうところの悔しさなので、2020年のときの悔しさ、惨敗したときの悔しさとは、またちょっと違うかもしれないですね。
――愛媛・松山での秋季キャンプも終わりました。この日本シリーズを踏まえて、来季に向けての課題なり、ここをこうするみたいなものは、見えましたか?
髙津 ありますよ、もちろん。ポジション全部が綺麗に埋まっているわけじゃないですし、先発ピッチャーが間違いなく足りないし、本当に「オリックスに負けないぐらいのリリーフを作りたいな」とも思っているので、たくさん課題はありますよ。
――それを1つ1つ埋めていくという作業ですか。
髙津 まあ、言うのは簡単なんですけど、人間のやることなので、なかなかすべてがうまくはいかないですけども、今回、若い選手を中心に、二軍の選手と言ったら失礼ですけども、なかなか見るチャンスがなかった選手を中心に連れていったわけなので、誰か1人、2人、「おっ」と思うような選手が出てきてくれたらなとは思いますけども。
――最後になんですけれども改めて、日本シリーズの感想、総括をお願いします。
髙津 期待を裏切ってしまったっていうところは非常に申し訳なく思っています。最後、「勝ち切りたかったな」っていうのは、今言ってもしょうがないんですけども、正直な気持ちですね。僕もそうですけども、選手もそう、ファンのみなさんにも悔しい思いをさせてしまったっていうところは反省して……、「反省しています」っていうのもおかしいですけども、力及ばずっていうところかなっていう風に思います。「これをバネに来年また作り直して、より強いチームを作っていきたいな」と改めて思いました。
――この悔しさを経て、来シーズンに向けて監督がどのようなチームを作っていくのか? 選手たちがどんな思いを抱いているのか? 改めて注目したいと思います。
髙津 そうですね。やっぱり足りないところとか、やらなきゃいけないところっていうのが、すごく浮き彫りになったシリーズなのかなって思います。これは、現場はもちろんですけども、チームとして、球団として、育成の部分であったり、補強の部分であったりとかいうところも含めると、たくさん「まだまだこれじゃダメなんだな」っていうところは課題として出たと思います。僕は現場の監督としてできることを100パーセントやっていこうと思いますし、それはもう今までとこれからもまったく変わることもなく、全力で強いチームを作り上げていくということに集中してやっていきたいなと思っています。また来年、期待してください!
たちまち重版決定!! 本連載をまとめた髙津臣吾監督のビジネス書『明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと』が、アルファポリスより大好評発売中!