――パワーピッチャーが1イニングを、全力で目まぐるしくどんどんくるとなると、攻略は難しいと思います。こうした編成や起用は、今後のヤクルトの参考になるという面もあったのではないですか?
髙津 今回のオリックスの投手陣に関しては、繰り返しになりますけど、編成だったり、スカウティングであったり、現場の起用法、見極めであったり、適材適所に配置した結果じゃないのかなと思います。全員がドラフト1位の選手かと言えば、そうではなく、すべての投手がリリーフ専門でスタートしたわけでもなく、いろんなことが総合的に、編成から現場の監督が指揮する、配置転換するところまでがしっかりとできていたんじゃないかなと思います。育成も含めて、こうやって1年でガラっと変わったというのは、話を聞いてみたいなっていう、現実的には難しいですけども、参考にしたいなとは思いましたね。
――オリックスとしては、初戦に山本由伸投手がアクシデントで降板して、その後結局投げませんでした。当然、ローテーション編成も余儀なくされたし、中6日予定だったものを中5日に縮めざるを得なくなると、先発投手も早めの交代をしていく。そして、強力中継ぎ陣をどんどん投入していく。中嶋監督も、ある意味では腹を括って動かざるを得なくなった。この点も厄介ではなかったですか?
髙津 オリックスもブルペンを9人にして、リリーフを多めにベンチ入りさせていました。もちろん、先発ピッチャーが少しでも長く投げてくれたらいいとは思っているでしょうけれども、例えばそれが4回で降板しても、その後は1人1イニングずつ繋いでいっても大丈夫だよっていうような体制を採っていました。だから、こちらとしては相手の先発投手が投げている間に、1点でも2点でもリードして、次にバトンを渡すような展開にしなければいけなかったですね。そこで1点、2点を取っていたら、また違った展開になったんじゃないかなっていうのは、攻撃陣の反省としてはありますね。
――一方のヤクルト投手陣について伺います。吉田正尚選手の劇的な2本のホームランは確かにインパクトがあったけれども、結果的には打率1割台に抑え、申告敬遠も上手に使いながら、第5戦以外はきちんと抑えました。オリックス打線を封じたヤクルト投手陣に関してはどんな印象がありますか?
髙津 吉田選手に関しては、シーズン終盤からCSにかけて、すごく状態がよかったので、徹底的にマークしていました。いろいろ研究もして、「こうやって攻めていこう」と方向性を決めました。結果的にホームランは2本打たれたけれども、全体的にはよく抑えたのかなと思います。ただ、オリックスの1番から9番までの打順を考えると、誰もが役割をしっかり理解して、繋がりのある打線でした。長打はある一定の選手に偏ってはいたけれども、それ以外の「繋ぎ」という部分では非常によく機能していました。破壊力はないかもしれないけど、繋いで、繋いで1点ずつ取っていくっていうスタイルは、「本当にいい打線だな」という風には感じていました。