2022東京ヤクルトスワローズ髙津流 熱燕マネジメント

互いに2勝!激闘続く日本シリーズ!
この勝利の先に、僕が目指す「理想のチーム」がある

みんなが勝ちに飢え、目の色を変えてプレーしている

――去年に続いて2年連続の日本シリーズ出場となりました。昨年は使えなかった本拠地の神宮球場で、「満員御礼」の中で2試合を戦った感想はいかがでしたか?

髙津 ふと思ったんですけど、「神宮球場で開幕する日本シリーズ」って、本当に久しぶりですよね?

――あ、確かにそうですね。ヤクルトは1978年、92年、93年、95年、97年、2001年、15年、21年、そして今年と9回リーグ制覇をしていますが、神宮球場で日本シリーズが開幕したのは92年のみ、実に30年ぶりとなりますね。

髙津 そうなんですよね。だから、「土日に神宮球場から始まる日本シリーズは久しぶりだな」というのが最初の感想でした。このちょっとひんやりした秋の風は、この時期しか感じられない心地よさ、懐かしさが個人的にはありましたね。

――日本シリーズの総括は改めて次回以降に伺いますが、この2年間のシリーズに違いはありますか?

髙津 去年と今年と、相手がオリックス・バファローズというところは一緒だけど、それぞれのメンバーも去年とまったく一緒ではないし、全然別物だという風に感じていました。でも、実際に始まってみたら、去年と一緒で本当に厳しい戦いが続いています。まぁ、しんどいですね(苦笑)。僕が言ってはダメですが……。

――本当にしんどい戦いが続いてます。心中お察しいたします(笑)。

髙津 はい(笑)。去年の6試合もそうでしたけど、ファンの方はこういう「ハラハラドキドキする試合を楽しみにされているんだろうな」と思う反面、やっている方、まぁ、僕がプレーしているわけではないですけど、選手たちは一瞬たりとも気が抜けない、少しでも間違えたら違う方向に行ってしまう。その緊迫感は去年と一緒ですね。

――ペナントレースでの勝負所となった8月26日からのベイスターズ3連戦で3連勝をしたこと。クライマックスシリーズでタイガース相手に3連勝したこと。今年のスワローズは「ここぞの強さ」を発揮できているように感じます。監督はどうお考えですか?

髙津 そうですね。みんな、間違いなく変わりましたよ。個人個人もそうだし、チームとしてもそうだし。僕が監督に就任した頃と比べて間違いなく変わりましたね。

――監督が目指している「理想のチーム」に近づいている実感はありますか?

髙津 「これが理想です」と言ってしまうと、ここがもうゴールみたいだから、そういう言い方はしたくないけど、「こういう雰囲気の中で野球をやりたいな」というムードには近づいていると思います。選手たちが勝ちに飢えていて目の色を変えてプレーする。みんなが「フォア・ザ・チーム」の思いを持って、「スワローズファミリー」として戦ってくれる。その点は理想には近づいているけど、目指すものはまだまだその先です。

――そうした実感を持ちながら戦っている日本シリーズもあとわずかです。

髙津 就任から3年かけて、少しずついい方向に変わってきていると思います。今季の戦いもあとわずかですけど、選手たちが踏ん張って、頑張ってくれると思っています。信じています。そう簡単にはいかないことはわかっています。最後まで毎日勉強しながら、勝てる努力を怠らずに頑張っていきますよ!

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

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2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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