2022東京ヤクルトスワローズ髙津流 熱燕マネジメント

互いに2勝!激闘続く日本シリーズ!
この勝利の先に、僕が目指す「理想のチーム」がある

「いいイメージ」を思い描いて日本シリーズを迎えた

――神宮球場での日本シリーズ開幕2戦は1勝1分という結果でした。当然、シリーズ開幕前にはさまざまな事態を想定してシミュレーションをされていると思いますが、どのような想定をしていたのですか?

髙津 基本的に「いちばんいいイメージ」を思い描いていました。だから、「0勝2敗」というイメージはあまり描いていませんでした。「まったく考えなかった」と言えばウソになるけど、根本にあったのは「どうやったら、オリックスを上回れるか?」とか、「どうすれば山本由伸投手から点を取れるだろう?」「相手打線を抑えることができるのだろう?」ということでした。そのために「どんな作戦を採ればいいのか?」ということばかり考えていたので、あまり負けるイメージはしていませんでした。

――以前、「僕はネガティブ思考だ」と話していました。これまでのお話だと「最悪の事態から想定を始める」とも口にしていました。今回の日本シリーズに関しては、いつもとは違うアプローチだったということですか?

髙津 先発ピッチャーに関しては、シリーズ開幕前に全7戦すべて決めていましたから、決めた以上はもう託すしかない。悪いイメージを持つ必要はない。そんなことは意識していました。もちろん、いつも対戦している相手ではないから、普段のジャイアンツとか、タイガースなど、セ・リーグのチームと戦うよりは、ちょっと手探りの部分はあります。だから、僕たちは何度もビデオを繰り返し見て、しっかりと相手選手のことを勉強して、後は選手を信じて送り出すだけ。僕らのすべきことは自信を持って選手たちを送り出すこと。選手たちが自信を持ってグラウンドに立てること。そこは強く思っています。

――短期決戦において、二つの考え方があります。一つは多少のことでは動じず、決してブレずに「普段通り」を貫くこと。もう一つは、従来の習慣や決まりにとらわれずに、目の前の状況に臨機応変に対応すること。日本シリーズ序盤は「1勝1分」でした。この結果を受けて、事前の想定に何か変化は生まれましたか?

髙津 第2戦の「引き分け」という結果が、とても大きな意味を持ちましたね。結果的に日本一を決めた去年の第6戦もそうでしたけど、「これは第8戦もあるぞ」ということを意識して、翌24日からは第8戦も含めてシミュレーションをしています。本来であれば、第7戦までのゲームプランを考えていればよかったけど、すでに第8戦もイメージしている。その点は「臨機応変」に当たるとは思いますね。

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

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2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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