2022東京ヤクルトスワローズ髙津流 熱燕マネジメント

村上選手最終打席56号、ベテラン達との惜別――
劇的シーズンを終え、指揮官が挑む2年連続日本一!

ハラハラするようなこの状況を通じて、さらなる飛躍を!

――彼らがスワローズにもたらしたものは、どんなものだと思いますか?

髙津 もちろん、プレーそのものでの貢献もいろいろあったけれど、彼らの場合はそれぞれが各所、各部門で、自分が持っているものを惜しげもなくスワローズにもたらしてくれました。彼らが培ってきた「経験」というものは、1本のヒット、1点という数字以上の価値があったと思います。

――嶋選手が最後に発した、「見せましょう、ヤクルトスワローズの底力を!」というメッセージはとても感動的でした。監督はこの言葉をどのように受けとめましたか?

髙津 嶋がプロ入りしたとき、イーグルスは野村克也監督でした。そこで、徹底的に野村さんに鍛えられていったんだと思います。その点はまさに古田(敦也)さんに似ているところもあり、嶋もまた発信力があって、キャプテンシーのある男でした。自分がプレーしていなくても、何かで貢献する。それも嶋らしいなと思いました。

――かつて、石川雅規投手は「嶋は身体はベンチにいても、頭の中では常に試合に出場している」と語っていました。

髙津 うん、そうですね。彼の存在感はとても大きかったですよ。彼は賢いので、その場の空気を読む力もありますし、若い選手へのアドバイスも的確なものでした。あの日のセレモニーでも言わせてもらいましたけど、彼が発したひと言で、頭の中を整理して打席に立った選手はたくさんいたと思います。決して表には出ていないけれど、若手選手たちにとっては、とても大きな存在であり、とても貴重なアドバイスだったと思います。

――現在はCSの真っ最中であり、その先には日本シリーズも控えています。過酷な日々が続いていますが、ここを乗り切るために考えていること、意識していることは何でしょう?

髙津 このようなハラハラするような経験は、間違いなく選手たちにとって野球人として大きくしてくれる状況、環境だと思います。「2年連続日本一」という最終目標を達成するためには、まずはこの山を乗り越えなければならない。すごく難しい戦いになるとは思うけれども、ゴールテープを切るための目の前の大きな壁をぶち破っていく。考えていることはそれだけです。

――不安と期待を併せ持ちながらの戦いとなりますね。

髙津 大きな声では言えないけれど、考えること、やるべきことが多すぎて、やっぱり不安の方が大きいですね(苦笑)。でも、「こうなったらどうしよう、ああなったらこうしよう」というのはきちんと考えて準備しておかなければいけないので、しっかりと覚悟を決めて臨んでいます。応燕、よろしくお願いします!

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

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2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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