2021東京ヤクルトスワローズ 高津流 燕マネジメント

奥川の初勝利、若手の台頭――
新しい「力」がチームを押し上げる

「昨年の失敗は二度としない」と肝に銘じて

――開幕して2カ月が経過します。改めて、「監督2年目」の心境について伺いたいのですが、初めて一軍の指揮を任された昨年との違いはありますか?

高津 間違いなく「慣れ」というものはありますよね。とはいえ、「だからラクだ」ということでは全然なくて、常に肝に銘じているのは「昨年の失敗は二度としない」という思いです。最下位に終わった昨年は、さまざまな課題が見つかりました。そうした課題を、キャンプ、オープン戦を通じて一つずつ潰してきたけど、まだまだ課題はあります。その点は常に意識しなくちゃいけないですね。

――「昨年の失敗は二度としない」という思いで、指揮官がやるべきこととはどういうことでしょうか?

高津 これは現役時代から変わらないことですけど、試合をする。結果が出る。課題を反省、復習する。次の試合に備えて予習する。この繰り返しだと思うんです。現役時代も、「昨日はこういうボールで打たれたから、その反省を踏まえて、今日はこういう攻め方をしよう」ということの繰り返しでした。それは監督になってもまったく変わらず、反省、復習、そして予習ということは今も心がけています。日々、いろいろなことを想像し、考え、新しい取り組みをする。その繰り返しです。

――具体的には、ここまでの試合においてはどんな「反省」がありましたか?

高津 たとえば5月1日の横浜DeNAベイスターズ戦では3つのエラーがすべて得点につながって、10対2で敗戦しました。記録に残るエラーもそうだけど、記録に残らないバッテリー間のミスや細かいミスがありました。そういう点は「なぜ、そういうことが起こったのか?」をきちんと反省して、次に備える必要があります。

――確かに、失策からの失点は防げるものですし、開幕以来、なかなか送りバントが決まらないのも目立ちますね。

高津 バントは12球団一、下手くそだと思います。バントと守備は練習すればしただけうまくなるものです。それがなかなか決まらないということは、単純に練習が足りないということ。毎日、マシン相手に練習しているんですけど、なかなか本番で決まらない。これはずっと言い続けていく課題だと思います。

――25日からは、新たな「節目」として、交流戦も始まります。今後の意気込みを改めてお願いします。

高津 現在は勝率5割前後を行き来していますが、ここはさらに冷静になって、積極的な判断、決断をしていこうと思います。勝ったからといって浮かれていてもダメだし、負けたからといって、「オレたちはこんなもんなんだ」と諦めモードになっては絶対にダメだし、毎日反省して、毎日希望とともに試合をする。日々リセットしながら、その日の試合に全力で臨んでいくつもりです。とにかく、見ていて面白い、わくわくするようなゲームをしたいと思っています。引き続き、「応燕」をお願いします!

 

ご感想はこちら

プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

髙津臣吾 /
2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
出版をご希望の方へ

公式連載