2021東京ヤクルトスワローズ 高津流 燕マネジメント

奥川の初勝利、若手の台頭――
新しい「力」がチームを押し上げる

「節目を大切にする」という考え方

――監督はよく「節目を大切にしたい」と話されていますが、連休明け、交流戦開幕など、これまで、これからの節目について、どのように考えていますか?

高津 おっしゃる通り、僕はいつも「節目を大切にしたい」と考えています。「一年間」というスパンで見れば、キャンプイン、オープン戦開幕、ペナントレースの開幕という節目があります。もちろん、シーズンに入ってからも、ゴールデンウイーク、交流戦開幕といつた節目は大切にしています。もちろん、短期的スパンで見ても、「一週間」「一試合」「一イニング」といった節目を大切にしています。

――「節目を大切にすること」の意義、効用は何でしょう?

高津 調子が悪いときは、原因を振り返ることもできるし、悪い流れをリセットすることもできます。長いペナントレースでは、このリセットがとても重要です。調子が悪いときはもちろんだけど、調子がいいときでも、節目、節目できちんとリセットして振り返ることで、好調の理由をきちんと理解できる。やはり、節目ごとにきちんと分析しつつ、リセットもするというのは重要だと思いますね。

――その一方で、現在のような新型コロナウイルス禍では、不測の事態も念頭に置く必要があります。

高津 実際にシーズンがスタートしてから陽性者が出たり、濃厚接触によって自宅待機を余儀なくされたり、コロナによる影響は出ています。とはいえ、前回も言ったけど、「彼はコロナになるだろう」と考えながら選手起用をしているわけではないので、その点はあくまでも「自分の引き出し」が大切になってくると思います。

――状況に応じて、監督自身の中にある「引き出し」を随時開けていくということですね。

高津 そうです。一軍だけでなく、二軍も含めた約70名の支配下選手と育成選手の状況を常に把握して、「現在は誰が調子がいいのか?」「どういう打順が効果的なのか?」、そうしたことに臨機応変に対応していくことが、より重要になってくると思います。その点は、去年よりもより強く感じていますね。

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

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2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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