――また、監督は「ピンチのときの対応の仕方は人間の器の大きさでもある」という趣旨の発言をされています。この言葉の意味することを改めて教えていただけますか?
高津 目の前に大きな壁がそびえ立ったとき、乗り越えるのが困難な状況に陥ったときに、それまでの、その人自身の経験や考え方が大きく左右することになると思います。ピンチを迎えたときに「絶対に無理だ」と考える人は、絶対にそのピンチを乗り越えることができない。僕はそう考えています。ピンチのときこそ、「何とかしよう」とか、「どうやって乗り越えるか?」と頭を使うことで、初めて解決のヒントが見えてくる。それは、つまりは人間の器量に関わる問題なんじゃないのかな。
――だからこそ、「ピンチのときにはその人の器量が出る」という発言につながったんですね。
高津 こんなことを言うと、「じゃあ、お前の器量はどうなんだ?」と尋ねられるかもしれないし、自信もないけど、僕はそう考えてずっとやってきましたね(笑)。今回のコロナによる選手離脱の際もそう考えていたので、強がりでもなんでもなく、「青木がいれば……」とは考えませんでした。
――戦前の下馬評では「投手力に不安」といったものが多かったものの、開幕以来、先発、中継ぎ、抑えと、それぞれの投手がみな頑張っている印象を受けます。投手陣に対して、監督の感想はいかがですか?
高津 本当によく頑張っていると思います。11点取られて引き分けという試合もあったけど(4月1日、対DeNA戦)、2日からのジャイアンツ戦、その後の広島戦とロースコアの試合が続きました。もちろん、引き分けや負けた試合もあったけど、投手陣が頑張っているから、試合が大きく壊れることがない。これはすごく助かっています。
――今年は延長戦がありません。実際に引き分け試合も多くなっています。これは、投手起用において、どのような影響をもたらしていますか?
高津 投手起用ということで言えば、後先考えずに自分の思い通りに継投できるという利点があります。延長戦があるときには、先を見据えて「ひとまずここはアイツを温存しておこう」というケースも多々ありました。でも、今は疲労度を考慮に入れつつも、「7回、8回は流動的ではありますが、9回は石山(泰稚)」とパチっと決められる。そういう意味では簡単というか、とても明快ですね。
――「投手陣に不安がある」と見られているヤクルトにとって、延長戦がないということはとても追い風となるのではないですか?
高津 自分で言うのも何ですけど、かなり追い風だと思いますね(笑)。