小さな幸せの見つけ方

「掃除」とは自分の心との対話する時間

2018.06.18 公式 小さな幸せの見つけ方 第22回
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掃除とは「心の掃除」

日々の生活において、私たちはさまざまな掃除をします。食器洗い、トイレ、お風呂掃除なども欠かせない掃除の一つでしょう。しかし、これらの掃除を毎日集中してされている方はどれくらいおられるでしょうか。おそらく「仕方ない」という思いで、嫌々ながらやられている方が多いのではないかと思います。

私は、本来、掃除とはただ物事を綺麗に整えることだけではなく、己の「心の掃除」にもつながっていると思うのです。

実は掃除の際に生まれる単純な動作に集中することで、たどり着ける心境があります。それは、昨今よく耳にするマインドフルネス(Mindfulness)というものです。大抵の場合は、瞑想を通して辿り着くものとされていますが、実は瞑想だけが手段ではありません。マインドフルネスの心境に到るには集中力を高める必要があり、その一番簡易な方法が瞑想というだけで、他にも手段は多々あるのです。

西洋では、このマインドフルネスという言葉は、ベアード・アテンション(Bared Attention)と表現されることもあります。これは、言葉通りに訳すと「裸の注意(気づき)」となります。つまり、自分の思い込みなどによる偏見に囚われず、物事をありのままに見ることができる心の境地です。

私は、集中して掃除をすることは、普段気が付かないところに目を向けさせてくれる大切な時間になると思うのです。掃除をしている中で自ずと集中力が高まり、意識が研ぎ澄まされ、いつもなら何気なく見過ごしていることに気が付くことができるようになります。これがまさにマインドフルネス、もしくはベアード・アテンションの境地です。

そうすると、思わずハッとさせられ、自分を振り返るきっかけを得ることもあります。そう、掃除とは「心の掃除」なのです。そして、掃除が終わってみれば、落ち着いた心と一緒に環境も綺麗に整えられているのです。しかし、これは一時的なものです。部屋が汚れるように、やはり私たちの心や物の見方も荒れてしまったり、湾曲してしまったりします。だからこそ、毎日の掃除を繰り返すことが必要になるのです。

できれば皆さんも、わずかな時間で構いません、何か一つ集中して掃除する習慣を作ってみましょう。この習慣は、きっと穏やかな心で生活する毎日に結び付くはずです。

 

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プロフィール

大來尚順
大來尚順

浄土真宗本願寺派 大見山 超勝寺 住職
著述家/翻訳家

1982年、山口市(徳地)生まれ。龍谷大学卒業後に渡米。米国仏教大学院に進学し修士課程を修了。その後、同国ハーバード大学神学部研究員を経て帰国。僧侶として以外にも通訳や仏教関係の書物の翻訳なども手掛け、執筆・講演・メディアなどの活動の場を幅広く持つ。2019年、龍谷大学 龍谷奨励賞を受賞。著書に『あなたは、あなた。』(アルファポリス)『超カンタン英語で仏教がよくわかる』(扶桑社) 『小さな幸せの見つけ方』(アルファポリス)など多数。

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