リーダーは“空気”をつくれ!

成功するリーダーは、苦手なことをしない

2017.07.07 公式 リーダーは“空気”をつくれ! 第2回
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成功するリーダーは、あえて弱みをさらけ出す

リーダーの役割は、「その仕事を成功させること」「結果を出すこと」であることは間違いありません。そして、その結果を得るために「組織、チームとしての能力を最大限に発揮させる」という役割もあります。つまり、チームのメンバーにはそれぞれの特徴があり、それに見合った適材適所の施策を実践することが重要になります。

肝心なのは、それがリーダーという立場であっても同じだということです。苦手なことや不得手なこと、うまくできないことは、他の人に任せるのが最善の選択と考えるべきでしょう。「苦手なことは苦手だ」とはっきり伝えなければなりませんし、あえて弱みをさらけ出すことで、逆にいい結果が出ることも往々にしてあるのです。

私は以前こんな経験をしました。ある仕事がらみの儀礼的な会合に誘われており、それは特に人脈が得られるわけではなく、いい情報が得られる訳でもなく、ただ時間の無駄という気がして、あまり気乗りがしない会合でした。そして案の定、その会合での成果は思わしい結果ではありませんでした。自分としては、会合自体が苦手だったのは否めません。

そんなある日、たまたま雑談の中で会合の話題になり、「自分はあまり会合の場が得意ではない」ことを部下に話しました。するとその部下が、「実は自分も今ちょうど出張予定と会合が重なっていて、出張にはマネージャーが行った方が話はスムーズなので、よければ行ってもらえませんか」と私に依頼しようとしていたと言うのです。そんな彼と話し合った結果、私のジャッジは彼に会合を優先してもらうことにし、私が彼の代わりに出張することにして丸く収まりました。

そもそもマネージャーのくせに「会合に行きたくない」などと言い出すのは、ただのわがままのようなもので、模範となる行動かどうかは疑問です。しかし、こうやって自分の苦手なことや弱みをはっきりメンバーに伝えると、意外に部下からサポートしてもらえるものです。当然それには、日頃の部下とのコミュニケーションや信頼関係の構築が大前提となりますが、得意でないことに対して責任感だけを優先させるよりも、リーダーはやはり自分を含めて適材適所な人材活用をするもの仕事であり、本当にできるリーダーはこれを日々実践しているのです。

リーダーとしての責任感は非常に大切なことですが、そればかりを優先させると、「自分でやらなければならない」「人には任せられない」「リーダーがやるべき」など、何もかも自分で背負ってしまう状況に陥ります。さらに「弱みは見せられない」「苦手とは言えない」など、自身のプライドまでかかわってくると、重圧はさらに加速します。これでは自分を含めた組織、チームとして、全員の能力を最大限に発揮させているとはいえません。

成功しているリーダーは、実は自分の苦手なことはしません。あえて弱みをさらけ出し、まわりのメンバーに協力を求めることで、チーム全体がメンバーの不得手な部分を補い合う空気が生まれるのです。この空気を作る力こそが、成功しているリーダーに共通する能力なのです。形式的な「あるべき姿」ではなく、適材適所で現実的な役割を考える。そこで自分の苦手なことがあれば、それははっきり苦手だと部下に伝える。そして、その仕事は自分よりも得意な他のメンバーに任せる。こういうサイクルをチーム内に作ることができれば、メンバー全員が本音で話し合い、チーム全体の結束力も高まるのです。

メンバーと本音で話し合える人間関係を作るためには、まずリーダーが本音を語らなければなりません。つまり、自分の弱みを素直に伝えられるリーダーこそ、実は優れたリーダーなのです。

次回に続く

 

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プロフィール

小笠原隆夫
小笠原隆夫

ユニティ・サポート代表・人事コンサルタント・経営士
BIP株式会社代表取締役社長

IT企業で開発SE職を務めた後、同社で新卒中途の採用活動、人事制度構築と運用、ほか人事マネージャー職などに従事。二度のM&Aでは責任者として制度や組織統合を担当。
2007年2月に「ユニティ・サポート」を設立し、同代表に。以降、人事コンサルタントとして、組織特性を見据えた人事戦略や人事制度策定、採用支援、CHRO(最高人事責任者)
支援など、人事・組織の課題解決に向けたコンサルティングをさまざまな企業に実施。
2012年3月より「BIP株式会社」にパートナーとして参画し、2013年3月より同社取締役、2017年2月より同社代表取締役社長。

著書

リーダーは“空気”をつくれ!

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