さて、優勝を果たした2015年と、リーグ5位に終わった2016年。この2シーズンの“違い”を考えてみてつくづく思うのは、「本当にわずかな差」が、結果的に大きな違いにつながってしまうということです。
勝負に“たられば”はないものの、振り返ってみると、試合の勝敗を決したのはいつでも「あのときランナーを進めていたら……」「あのゴロをアウトにしていれば……」といった小さな部分なんです。逆に言うと、そうした些細な“ポイント”をきっちり押さえていれば、勝てた試合がいくつもあったということ。各チームが年間140試合以上を戦い、その結果、戦績に開きが生じるわけですが、1試合1試合の明暗を分けた“差”はごく小さなものなんですね。だから選手たちには、「(昨シーズン優勝の)広島東洋カープとも、実のところそんなに差はない」と伝えるようにしています。
大切なのは、小さなポイントにも徹底してこだわる意識ですね。ピッチャーであれば、たとえば「2アウトであっても盗塁を許さない」こと。相手ランナーが1塁にいる場合と、盗塁して2塁にいる場合では、外野手の守備位置が変わってきます。これにより、走者が1塁にいれば問題なく捕れていたはずの打球を、捕り逃すこともあり得るわけです。こうした細かい部分にまで意識を向けられるかどうか、ここが重要なんですね。
プロ野球の世界は、当然ながら全員がプロ野球選手なのですから、どの選手も技術や体力にはそこまでの差はないはずです。にもかかわらず戦績に大きな違いが生じるのは、繰り返しになりますが1試合1試合における「小さな差」の積み重ねなんですね。そのわずかな差が、最終的に順位となって表れるのです。
次回も、引き続き昨シーズンを総括していきます。今回は「チーム全体」にスポットを当ててお話ししましたが、次の第22回では「個々の選手の活躍」を中心に振り返ってみたいと思います。
取材協力:高森勇旗