真中監督に代わってから、ミーティングの内容も変わりました。これは、司会進行役を務める三木肇ヘッドコーチの功績も大きいのですが、真中監督は自分の考えをしっかりと伝えてくれるし、周りのコーチたちの意見もじっくりと聞いてくれるので、コミュニケーションはさらに円滑になりました。
真のコミュニケーションとは、双方が対等であり、思っていること、考えていることを率直に披露することで成り立つものです。その点、真中監督はコーチの考えも聞いてくれます。これまでの監督からは、「投手のことは一任する」と言われていました。それは監督からの信頼を勝ち得たようで嬉しいし、やりがいもあるのですが、その反面では、「もっと意見や議論を交わしたい」という思いも、正直なところ僕にはありました。
その点、真中監督は「今後のローテーション編成はどうしようか?」「この投手をもう少し間隔を詰めて投げさせることはできないか?」など、具体的な提案や要望を出してくれます。だから僕としては、現状を伝え、自分の考えを述べることで、少しずつ議論が深まっていくケースが多々あります。これは全体ミーティングで話すこともあれば、ちょっと気になる点があるときには個人的に話すこともあります。
ミーティングに関して僕が心がけていることは、「監督に聞かれたことは迷いなく、すぐ答えられるように準備をする」ということです。
現在、ヤクルトには育成枠の2選手を含めて、一軍と二軍を合わせて36名の投手が所属しています。一軍選手の場合は自分の目で確かめることができますが、二軍投手の場合は二軍の高津臣吾監督、赤堀元之、小野寺力投手コーチとの密なる連携によって、常に最新の状況を把握するように努めています。監督に仕えるコーチとして、つまり上司に仕える部下として、自分の担当部署の現状認識は非常に重要だと考えるからです。先に述べた「迷いなくすぐに答える」ためには、現状を知らなければ何も始まりません。