いきいきと活発な気を感じたときに「元気いっぱいだ!」と言いますし、停滞しているときには「気分がすぐれない」と言います。
自分の生命エネルギーの状態を把握して、「○○な気分」と呼んでいるのです。気分は私たちの行動を大きく左右します。
気分が落ち込んでいれば、視野が狭くなり、前向きなことは考えられなくなります。逆に、気分があがっていれば、視野は広がって、前向きなことを考えられるようになります。
私たちが過去を振り返るとき、まず、気分をあげることができたら、ネガティブな活動には繋がらず、むしろ前向きに行動できるようになります。
自分が明るい気分を発していれば、明るい情報も集まってくるのです。
もしも気分をあげて振り返ることができたら、どのようなことが起こるでしょうか。
――振り返りは発見を促す――
振り返りは、自分の感情や思考を掘り起こします。その過程で、さまざまな発見をするのです。
たとえば、望んで就いた仕事が面白くなくなってしまったときに、振り返りを行えば、面白くなくなってしまった原因と共に、仕事を面白くするためのヒントを見つけることもできます。
今の仕事に見切りをつけて転職しようとする際にも、転職について自分を振り返ってみます。そして、なぜ転職したいのか、何のために転職するのか、転職してどうなりたいのかということを掘り下げていくと、転職の目的と望ましい転職の姿が発見されます。
次の仕事で活かしたい自分の価値観を発見することもできます。
そのほか、これまでの人生で何を大事にしてきたのかや、世界に対する見方、好き嫌いや善悪に対する判断基準や価値観も発見することができます。
また課題の解決策やヒントを発見することだってできます。
――振り返りは創造を促す――
情報の組み合わせによって新しい知識を生み出すというのが、知識創造の原則です。実際に過去を振り返ると、現在の自分の持つ知恵が過去のあらゆる事象と出会い、組み合わされます。その結果、知識創造が起こるのです。
仕事上の企画を考えるときに、単にネット検索をしてボヤッと考えるのもいいですが、自分の過去を振り返ってみるのです。
得意先であるレストランの新メニューを考えるというのであれば、自分自身の食事体験を振り返ります。最高のレストランはどこか、子どもの頃の食べる悦びは何だったか、恋人と行くときにどんな料理を食べたかなどを、どんどん掘り下げていくのです。
そこから、当該レストランの情報を組み合わせていくと、いくつものアイデアが出てきます。
単にひらめきを待つのではなく、自分の過去の体験を手がかりにして組み合わせの例を増やすことで、アイデアをどんどん出すことができるのです。
過去を振り返るというのは、過去と取り組むブレストのようなものです。
――振り返りは進化を促す――
人類の歴史は、一面では成功の歴史ですが、もう一面は失敗の歴史です。人類は失敗を振り返り、学んできたことによって文明を発達させ、進化を遂げてきました。
私たちも、仕事をする中で、大小を問わなければたくさんの失敗をしてきているはずです。
失敗を振り返ると、その失敗の原因を発見することができます。原因がわかれば対策を考えることができます。ベストな対策を発見したら、それを実行していきます。これを続けていけば、仕事のスキルはどんどん進化します。
ビジネスにおける人間関係も同じです。お客さまを不機嫌にしてしまったとか、ちょっとした言い間違いでクレームを受けたという体験もあれば、お客さまを悦ばせ、関係を良好にできたという場合もあるでしょう。
それらの失敗体験も成功体験もしっかりと振り返れば、原因と対策を発見することができます。対策を実行していけば、ビジネス上の人間関係はどんどん進化していきます。深い人間関係を築き、さらに業績をあげることも可能なのです。
成功も失敗も振り返り、現在の私たちの知との組み合わせを起こせば、知識創造が起き、必然的に行動が変化するのです。