誰しも望む未来があります。しかし、その未来を実現できる人は、ひとにぎりだと考えていませんか? そんなことはありません。未来の自分を変えるヒントは、あなた自身の中にあるのです。過去に「目をつけ」「掘り下げて」「引き出す」。このプロセスの繰り返しが、あなたの未来を大きく変えるのです。ここでは、自分自身を「振り返る」ことで見えてくる、あなたが望む未来の導き出し方を紹介していきます。そう、あなたの過去は宝の山なのです。
振り返りとは、ごく普通の言葉ですが、夢を実現するためにはとてもパワフルな行為です。
夢を実現するための振り返りに、3つの時間、3つの対象、3つの段階があると考えて下さい。
【3つの時間】
1.過去
2.現在
3.未来
【3つの対象】
1.自分を振り返る
2.他人を振り返る
3.全体(周囲・状況)を振り返る
【3つの段階】
1.目をつける……目的と対象の明確化
2.掘り下げる……体験の吟味・検証・分析
3.引き出す………知恵と価値と知識の創造
これらは本書でこれから説明していきますが、つまり過去・現在・未来の自分や他人、全体を対象に、目的を明確にして検証と分析を行い、知識の創造をするということです。
自分を振り返るという場合は、我が身を振り返り、自分を見つめ直します。自分のやる気の素を発見したり、自分にふさわしい夢実現の方法を見つけたり、進むべき方向性を定めたりすることができます。
人生で出会う問題や課題の答えは、どこか遠いところにあるのではなく、私たちの心の内にあります。心の奥底の気持ちにアクセスするために、体の声に耳を澄ましたり、想像力の羽を広げて、広大な心の世界を探求したりします。それが振り返りです。
夢実現の振り返りによって、未来を見通す眼鏡と、人生という宝の箱を開けるための鍵を手に入れるのです。
仕事上や日常生活では、「振り返り」よりも「反省」という言葉の方がよく使われると思います。「反省」は「振り返り」よりも一層ネガティブな意味で使われます。
反省というと、うなだれてしゅんと身を縮めていないといけないような印象がありますが、振り返りも反省も、本来、気分を落ち込ませるという意味はありません。
振り返りにもネガティブな印象があるとするならば、それは過去を懐かしむことで、行動が止まってしまうことがあるからです。それは過去にとらわれた「停滞」と呼ぶべきです。
懐古趣味や、「昔はよかった」と過去の栄光に浸っている間にも、ときは流れていきます。それを戒めて、「過去ばかり振り返っているな!」と言うのです。
過去の栄光もさることながら、過去の失敗をくよくよと思い返しているのも生産的ではありません。それは反省ではなく「後悔」です。「後悔したって始まらない」と言われるだけです。
反省が「後悔」ではないように、振り返りも「後悔」ではありません。私たちは振り返りや反省を、停滞や後悔と同時にやってしまいがちなだけです。
極論すれば、振り返りと反省に、停滞や後悔は必要ありません。解決と創造のためにこそ、振り返り、反省すべきなのです。
確かに、過去の失敗を後悔することで行動が改まることはあります。しかし後悔の感情に溺れて停滞してしまっては、元も子もありません。
起きた出来事を振り返り、深掘りすることで、過去という宝の山から、私たちは多くのことを引き出し、未来に活かすべきなのです。