三澤　透一

22世紀、人々はより高度な文明を手に入れて、より高度で快適な生活を送っていた。«平凡な人物»である彼もまた、ハイテクな道具に囲まれながら、いつもと変わらない生活を過ごしている。良くも悪くも平均的、よく言うならばオールマイティ、素直にいえば器用貧乏な才能である彼は、そんな自分も、そんな自分が生活するこの環境も嫌いで、周りに馴染めないで、自分の殻に閉じこもっていた。そんなある日、彼は不思議な丸い球体を見つける。その球体に触れると、眩い光が彼を包み込み、思わず彼は目をつぶる。彼が目を開くと、そこには自分の知らない世界が広がっているのであった……

　｢僕｣が家に帰る途中の道で、ふと、空を見上げると、浜辺の砂を空にばらまいたような、まばらな星が見えることがある。 　これは、そんな夜がある前の日々の、少しだけ切ない日常のお話。