その手に、すべてが堕ちるまで
孤独な半魔は愛を求める
冒険者のエランは、同業者に逆恨みされて謂れのない借金を背負わされ、性的な要素の強い非合法な見世物小屋で働くことになる。そこの主人であるルチアは膨大な魔力の持ち主で、エランは合意とはいえ半ば騙されるような形で「ルチアに身体を求められれば従ってしまうし快楽を感じてしまう」という洗脳に近い契約を結ばされる。最初は契約で従っていたエランだが、ルチアが人間と魔物の間に生まれたがためにどちらからも迫害されていたという過去を知ると同時に、大人びた彼の子供じみた一面を垣間見て、庇護欲を抱き始める。ルチアもまた、契約が適用されない場面でも自分に従うエランを、無意識のうちに大切に思い始め……
バーチャルアルファとオレ
舞台は、思春期ごろに『二次性(アルファ、ベータ、オメガ)』を確認する検査が 行われるオメガバースの世界。ベータの家系に生まれたにもかかわらずオメガと 診断された奏は、検査から数年経って尚、オメガであることに戸惑いを覚えていた。 そんな奏を心配したかかりつけ医の勧めでメンタルケアアプリ『バーチャルアルファ』 のテスターになった奏は、「自分のアルファであるクラスメイト」という設定のAI 『悠吾』と話すことで、常に真摯に愛情深く接してくれる彼との対話に、少しずつ 自身がオメガであることを受け入れられるようになる。いつしか奏は悠吾に対して、 AIだと分かりながらも、仄かな恋心を抱き始めて――